神奈川県高等学校教職員組合HOMEPAGE
■ 第2   世界史B


   1    目         標
     世界の歴史の大きな枠組みと流れを,我が国の歴史と関連付けながら理解させ,文化の多様性と現代世界の特質を広い視野から考察させることによって,歴史的思考力を培い,国際社会に主体的に生きる日本人としての自覚と資質を養う。

   2    内         容
(1)    世界史への扉
     身近なものや日常生活にかかわる主題,我が国の歴史にかかわる主題など,適切な主題を設定し追究する学習を通して,歴史に対する関心と世界史学習への意欲を高める。
   世界史における時間と空間
     時計,暦,世界地図,都市図などから適切な事例を取り上げて,その変遷や意義を追究させ,人々の時間意識や空間意識が時代や地域により異なることに気付かせる。
   日常生活に見る世界史
     衣食住,家族,余暇,スポーツなどから適切な事例を取り上げて,その変遷を追究させ,日常生活からも世界史がとらえられることに気付かせる。
   世界史と日本史とのつながり
     日本と世界の接触・交流にかかわる人,物,技術,文化などから適切な事例を取り上げて,接触・交流の具体的様相を追究させ,日本列島の歴史と世界史との密接なつながりに気付かせる。
(2)    諸地域世界の形成
     人類は各地の自然環境に適応しながら農耕や牧畜を基礎とする諸文明を築き上げ,やがてそれらを基により大きな地域世界を形成したことを把握させる。
   西アジア・地中海世界
     西アジア・地中海世界の風土,オリエント文明の盛衰,イラン人の活動,エーゲ文明,ギリシア・ローマ文明に触れ,西アジア・地中海世界の特質を把握させる。
   南アジア世界の形成
     南アジアの風土,インダス文明,アーリヤ人の進入以後の文化,社会,国家の発展に触れ,南アジア世界の形成過程を把握させる。
   東アジア・内陸アジア世界の形成
     東アジア・内陸アジアの風土,中華文明の起源と秦(しん)・漢帝国,遊牧国家の動向,唐帝国と東アジア諸民族の活動に触れ,日本を含む東アジア世界と内陸アジア世界の形成過程を把握させる。
(3)    諸地域世界の交流と再編
     ユーラシアの内陸及び海域のネットワークを背景に,諸地域世界の交流が一段と活発になり,新たな地域世界の形成や再編を促したことを把握させる。
   イスラーム世界の形成と拡大
     アラブ人とイスラーム帝国の発展,トルコ系民族の活動,アフリカ・南アジアのイスラーム化に触れ,イスラーム世界の形成,拡大の過程を把握させる。
   ヨーロッパ世界の形成と変動
     ビザンツ帝国と東ヨーロッパの展開,西ヨーロッパの封建社会,都市の発達と王権の伸長に触れ,キリスト教とヨーロッパ世界の形成,変動の過程を把握させる。
   内陸アジアの動向と諸地域世界
     契丹(きったん)・女真(じょしん)と宋(そう)の抗争,モンゴル帝国の興亡と諸地域世界や日本の変動に触れ,内陸アジア諸民族がユーラシア諸地域の交流と再編に果たした役割を把握させる。
(4)    諸地域世界の結合と変容
     アジアの繁栄とヨーロッパの拡大を背景に,諸地域世界の結合が一層進んだことを把握させるとともに,主権国家体制を整え工業化を達成したヨーロッパの進出により,世界の構造化と社会の変容が促されたことを理解させる。
   アジア諸地域世界の繁栄と成熟
     明(みん)・清(しん)帝国と朝鮮や日本との関係,東南アジア海域世界とイスラーム世界の動向を扱い,16世紀から18世紀にかけてのアジア諸地域世界の特質を理解させる。
   ヨーロッパの拡大と大西洋世界
     ルネサンスと宗教改革,新航路の開拓,主権国家体制の成立,大西洋貿易を扱い,16世紀から18世紀にかけてのヨーロッパ世界の特質とアメリカ・アフリカとの関係を理解させる。
   ヨーロッパ・アメリカの変革と国民形成
     産業革命,フランス革命,アメリカ諸国の独立など,18世紀後半から19世紀にかけてのヨーロッパ・アメリカの経済的,政治的変革を扱い,産業社会と国民国家の形成を理解させる。
   世界市場の形成とアジア諸国
     世界市場の形成,ヨーロッパ諸国のアジア進出,オスマン,ムガル,清帝国及び日本などアジア諸国の動揺と改革を扱い,19世紀のアジアとヨーロッパの関係を理解させる。
   帝国主義と世界の変容
     ヨーロッパ諸国によるアジア・アフリカの植民地化をめぐる競合とアジア・アフリカの対応を扱い,19世紀後期から20世紀初期の世界の支配・従属関係を伴う一体化と社会の変容を理解させる。
(5)    地球世界の形成
     科学技術の発達や生産力の著しい発展を背景に,現代世界は地球規模で一体化し,相互依存を強めたことを理解させる。また,国際対立と国際協調,科学技術と現代文明などの観点から20世紀の歴史の特質を考察させ,未来を展望させる。
   二つの大戦と世界
     二つの大戦と総力戦,ロシア革命とソヴィエト連邦の成立,大衆社会の出現と全体主義,世界恐慌と資本主義の変容,アジアの民族運動などを扱い,20世紀前半の世界の動向と社会の特質を理解させる。
   米ソ冷戦と第三勢力
     米ソ冷戦の展開,アジア・アフリカ諸国の独立と紛争,平和共存の模索と多極化の進展を扱い,冷戦期の世界の動向を理解させる。
   冷戦の終結と地球社会の到来
     市場経済の世界化,東欧諸国の民主化と冷戦の終結,ソヴィエト連邦の解体,アジア経済の急成長,地域統合の進展などを扱い,1970年代以降の世界と日本の動向を理解させる。
   国際対立と国際協調
     核兵器問題,人種・民族問題,第二次世界大戦後の主要な国際紛争など,現代の国際問題を歴史的観点から追究させ,国際協調の意義と課題を考察させる。
   科学技術の発達と現代文明
     情報化,先端技術の発達,環境問題などを歴史的観点から追究させ,科学技術と現代文明について考察させる。
   これからの世界と日本
     国際政治,世界経済,現代文明などにおいて人類の当面する課題を歴史的観点から追究させ,これからの世界と日本を展望させる。

   3    内容の取扱い
(1)    内容の全体にわたって,次の事項に配慮するものとする。
   1の目標に即して基本的な事項・事柄を精選して指導内容を構成するものとし,細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないこと。
   具体的な歴史の展開を通して,文化・文明などの概念,年代の表し方,時代や地域の区分などを把握させるようにすること。
   風土,民族の扱い,現代の課題の考察,歴史地図の活用などについては,地理的条件との関連に留意すること。
(2)    内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
   内容の(1)については,生徒の実態等に応じ,アからウまでのうち適宜項目を選択し,二つ程度主題を設定して追究する学習を行うこと。その際,世界史学習の導入に当たることを考慮し,抽象的で高度な指導にならないようにすること。
   内容の(2)及び(3)については,次の事項に留意すること。
(ア)    各時代の人々の生活や意識を具体的に理解できるようにし,政治史のみの学習にならないようにすること。
(イ)    比較文明的視点から世界の歴史の中の日本の位置付けにも着目させること。
   内容の(4)及び(5)については,次の事項に留意すること。
(ア)    客観的かつ公正な資料に基づいて歴史の事実に関する理解を得させるようにすること。
(イ)    広い視野から世界の動きをとらえることとし,各国史別の扱いにならないようにすること。
(ウ)    政治,経済,社会,文化,生活など様々な観点から歴史的事象を取り上げ,近現代世界に対する多角的で柔軟な見方を養うこと。
(エ)    日本と関連する諸国の歴史については当該国の歴史から見た日本などにも着目させ,世界の歴史における日本の位置付けを明確にすること。
   内容の(5)については,次の事項に留意すること。
(ア)    単に知識を与えるだけでなく,地球世界の課題について考察させること。その際,核兵器の脅威に着目させ,戦争を防止し,民主的で平和な国際社会を実現させることが重要な課題であることを認識させること。
(イ)    内容のエ,オ及びカについては,例示された課題などを参考に適切な主題を設定し,生徒の主体的な追究を通して認識を深めさせるようにすること。