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騒音苦情270件−県と周辺8市

神奈川新聞2007年05月15日

NLP 中止要請も強行
「これはひどい」と知事ら

 在日米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)で十四日夜、ジェット戦闘攻撃機による夜間離着陸訓練(NLP)が行われた。十日に続き二日目の実施。訓練直前まで松沢成文知事や大木哲大和市長らが国や米軍に強く中止を求めてきたが、強行された。基地周辺の自治体は「もう地元自治体の力だけでは無理。国が責任を持って米軍とやりとりしてもらわなければ」と止められない国への不満をあらわにした。この夜、県や周辺市には住民の騒音苦情が相次いだ。

松沢知事は同日午前、横浜防衛施設局の高見沢将林局長と県庁で会談。「絶対に容認できない。米側と再調整してほしい」と険しい表情で述べ、十四、十五両日のNLP中止を求める緊急要請を行ったが、高見沢局長は「地元住民に迷惑を掛けて申し訳ないが、日米安保体制の即応性維持のためにはNLPは必要」と要請を拒絶した。
大木市長は在日米海軍司令部のウィリアム・キューリック大佐と高見沢局長に中止を要請。海老名市の内野優市長も同基地司令官のジャスティン・クーパー大佐に中止を要請したが、クーパー大佐は「訓練は空母艦載機に必要不可欠。理解していただきたい」と述べるにとどまった。
NLPは十四日午後六時すぎから始まり、松沢知事と周辺四市(大和、綾瀬、座間、海老名)の各市長は基地の北東約1キロの大和スポーツセンター(同市上草柳)屋上から訓練の様子を視察。
知事就任以来初めてNLPを目にする松沢知事は、戦闘攻撃機がごう音を響かせながら滑走路を空母の甲板に見立てて「タッチ。アンド・ゴー」
を繰り返す様子に「これはひどい。あすはどうにかして中止させないと」と絶句。「万が一のときは大惨事になり、日米安保体制にも大変なダメージを与える。再編で移駐が確実に実現されるよう求めていかなければならない」と述べた。
視察後、松沢知事らは基地のクーパー大佐と面会し、十五日に予定されているNLP中止を要請。クーパー大佐は「私たちも日本国民を守るために安保の責任を果たしている」と述べ、中止については言及しなかったという。

【騒音苦情270件 県と周辺8市】
在日米海軍厚木基地で十四日夜行われたFA18戦闘攻撃機などによる夜間離着陸訓練(NLP)で、県や周辺八市に寄せられた騒音苦情は二百七十件以上に上った。NLPは同日午後六時すぎから始まり、県と周辺市によると同九時半現在で、県と大和、綾瀬、藤沢、海老名、相模原、座間、横浜、町田の各市に計二百七十七件の苦情が寄せられた。米軍からの事前通告によると、十五日も午後六時から同十時までNLPが実施される予定だ。大和市基地対策課によると、NLPは午後九時四十分すぎまで行われ、訓練時間中に滑走路北一キロ地点で七〇デシベル以上の騒音六十九回を計一測。最高で新幹線の通過音にほぼ相当する一〇七・九デシベルの騒音を計測したという。(報道部)