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経済力が学力左右

神奈川新聞2007年11月17日

授業料減免率 最大55倍の開き
進学校低く

 県立高校全日制で生活保護世帯などへの授業料減免を受けた生徒の割合(減免率)が2005年度、最も高い学校と低い学校で55倍の差があったことが16日、分かった。学力不調が指摘される課題集中校の減免率が軒並み高い一方で進学校では低く、家庭の経済格差と学力格差の相関関係を裏付けた形だ。同年度までの三年間で格差が広がっており、深刻な実態が明らかとなった。(成田洋樹)

 高校教員らが研究員の県高等学校教育会館教育研究所が、県への情報公開請求などで入手した資料で分かった。
 それによると、最大減免率の学校は5人に1人の22%で計113人。最小は250人に1人の0.4%の3校で、3〜4人。減免率の高い上位10校のうち8校は中途退学率上位10校の中に含まれ、厳しい家庭環境などで退学を余儀なくされた可能性がある。
 一方、減免率が低い上位10校は、県教育委員会が大学合格実績を上げる進学重点校に指定した5校などいずれも進学校だった。
 同研究所で受験難易度別に分析した結果、03〜05年度で学力中堅校や課題集中校で減免率が平均約1〜3ポイント上がり、05年度に減免率が最大だった高校は約6ポイント増えた。一方、進学校は横ばい傾向で減った学校もあった。
 大学現役進学率では進学校と課題校で約5倍の差があり、課題校では就職が約4割。高卒ですぐに安定した職に就く生徒は限られ、同研究所は「中学校までの家計の状況で一生が決まってしまうようなものだ。学ぶ意欲以前の問題で、教育の前提条件が崩れている」と危機感を強めている。
 県立高校の授業料は年間で全日制115,200円、定時制31,200円。生活保護とそれに近い世帯などが全額、困窮世帯が半額それぞれ免除される。05年度は全日制6,200人(全額5,430人)、定時制635人(同598人)。


県立高校全日制授業料減免率と退学率の比較

学校 減免率 退学率と順位
A 22.0 20.43 (1)
B 21.4 11.11 (2)
C 19.5 9.61 (5)
D 19.4 8.35 (7)
E 18.9 9.02 (6)
F 18.0 9.80 (4)
G 17.9 9.98 (3)
H 17.1 4.08 (22)
I 16.7 6.43 (9)
J 15.9 2.25 (41)
K 0.4  
L 0.4  
M 0.4  
N 0.5  
O 0.6  
P 0.7  
Q 0.7  
R 0.8  
S 0.8  
T

※2005年度、県教委調べ。数字は%。
A〜Jは減免率が高率順で、K〜Tは低率順