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もう一人の”県代表”

神奈川新聞2008年03月23日

神奈川総合高・城殿恵さん
甲子園で司会進行役

 第80回選抜高校野球大会が22日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕した。開会式では、足並みのそろった行進を披露した横浜、慶応ナインのほかに、もう一人の”神奈川代表”がいた。神奈川総合高2年城殿恵(きどのめぐみ)さん(17)。式の司会進行役として晴れ舞台に臨んだ。
 晴れ渡った春空に似合う、澄んだ声だった。「選手宣誓を行います」。マイクの声にすがすがしい風を乗せた。
 昨年7月、約13000人の高校生が参加した全国高校放送コンテスト・朗読部門で優良賞に輝いた。大役がめぐり、「甲子園の司会はあこがれ。名誉で光栄なこと」と心弾ませた。
 生まれつき手足に障害がある。車いす生活を送るが、神奈川総合高放送部の関弘之顧問(51)は「障害を感じさせない明るい子。ステージでも物おじせず、よく声が通る」と話す。この日球場に詰めかけた44,000人の前でも動じなかったのは、横須賀市立衣笠中時代の演劇部での経験が生きているからだ。
 式が終わると目を少しだけ潤ませ、「緊張したけど、選手たちと緊張感を共有できた」と充実感をにじませた。来月3日の決勝後の閉会式で、もう一度司会を務める。「ぜひ横浜と慶応に勝ち上がってもらい、どちらの名前も読み上げたい」と楽しみにしている。

(浅川将道)