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親が外国人、30人に1人

神奈川新聞2008年08月04日

06年新生児厚労省調査
日本の国際化裏付け

 二〇〇六年に国内で生まれた赤ちゃん約百十万人のうち、親の少なくとも一方が外国籍の子が三万五千六百五十一人で、新生児の3・2%、ほぼ三十人に一人の割合に上ることが三日までに、厚生労働省の調査で分かった。
 同年に国内で結婚し、婚姻届を出したカップルのうち、一人または両方が外国人の組み合わせば6・6%で約十五組に一組。いずれの数字も増加傾向にあり、過去十年で最高。在日外国人の定着と日本社会の国際化を裏付けている。
 「人口動態統計」と同「特殊報告」によると、〇六年に出生した赤ちゃんのうち「父親が外国人」が約一万九千人、「母親が外国人」は約二万六千人。これらのうち「両親とも外国人」は約九千人。
 父の外国籍で多いのは韓国・朝鮮(四千三百人)、中国(三千五百人)、ブラジル(二千四百人)の順。母は中国(六千八百人)、フィリピン(六、千三百人)、韓国・朝鮮(四千四百人)となっている。フィリピン人とタイ人の母親は夫が日本人の割合が特に高く、それぞれ80%、79%を占める。
 一方、同年の結婚中6・6%を占める約四万九千組は少なくとも片方が外国籍。東京二十三区、大阪市、名古屋市で10%を超えた。
 夫が日本人、妻が外国人という組み合わせが約三万六千組と圧倒的に多く、うち妻の国籍は中国、フィリピンがそれぞれ三分の一ずつ。六分の一が韓国・朝鮮で、以下タイ、ブラジル、米国と続く。
 親が外国人の赤ちゃんが出生数に占める割合を都道府県別にみると、トップは東京の5・7%。次いで愛知4・9%、三重4・5%の順。神奈川は六番目の4・1%。
 結婚の少なくとも一方が外国人という割合は、東京と山梨の9・9%が最高で愛知と群馬の9・4%が続き、神奈川は九番目の八・四%だった。

◆在日外国人
日本に外国人登録している人の数は法務省の年末べ−スの統計で1960年約65万人、70年約70万人だったが、バブル経済期の90年に108万人、昨年は約215万人に達した。国籍で最も多いのは中国の28・2%で70年代から増加を続け、昨年初めて韓国・朝鮮(27・6%)を抜いた。以下ブラジル、フィリピン、ペルー、米国と続く。外国人登録をするのは日本で就労、勉学などの目的で生活する人たちで、観光など短期滞在目的の入国の場合の多くは登録しない。一方、不法滞在者数は今年1月の推計値で約15万人。93年以降減少を続けている。

【解説】地域の受け入れ課題
 外国人を親に持つ子供や、日本で結婚する外国人が増える背景には、就労や勉学のため来日した人たちが次第に日本社会に定着、生活の本拠を築くという現実がある。親が外国人の赤ちゃんの比率3・2%は小学校なら通常「一学級に一人」を超える。「日本生まれ」でも多彩な出自や文化的背景を持つ時代を示し、日本人像が変わっていくことは必至だが、学校や地域の受け入れ態勢は不十分で、重大な課題だ。
 外国人登録者の六割以上は永住、定住者や日本人の配偶者。民間非営利団体「多文化共生センター東京」の王代表によると、彼らが日本でもうけた子供は日本語が上手になるが、家庭環境が日本語でないハンディは残る。学校の支援は不十分で「名が呼びにくい」と通名使用を勧めるケースすらあるという。
 「肌、髪、瞳の色が違う日本人が増え、日本人が多様化しているのに、社会の認識は追いついていない」と王さんは懸念。外国人の人権問題に取り組む張学錬弁護士も「外国人も同じ税金を払っているのに、社会の仲間と見なさず排除する人が多い」という。
 移民との共生は先進国の宿命ともいえる。英国の司法長官はドミニカ生まれの女性弁護士で、移民政策強硬派のサルコジ仏大統領もハンガリー移民二世。日本社会が「多民族多文化」に向かうと数字が示す以上、意識改革が急がれよう。