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県立高の授業料未納

神奈川新聞2008年11月09日

卒業生に支払い督促
県教委法的措置
 差し押さえや訴訟も

 県立高校の授業料未納が急増している問題で、県教育委員会は八日までに、支払い能力がありながら再三の要請に応じないなど悪質な未納者に対し、法的措置を取る方針を決めた。未納のまま卒業した社会人らを対象に、年内に支払い督促を簡易裁判所に申し立てる。大半は支払い能力があるとみており、給料差し押さえや訴訟も辞さない強い姿勢で未納撲滅を目指す。(真野太樹)

 都道府県立高校の授業料未納は、二〇〇六年度だけで全国で延べ八千四十八人が計約四億三千八百万円を滞納するなど深刻化。経済事情が主な原因とみられるが、各都道府県教委が支払い困難な家庭には減免制度などを設けているため、親のモラル低下なども背景にあると指摘されている。
 県内では今年三月の時点で延べ千八十一人が五千五十六万円を滞納し、そのうち〇六年度以前から続く未納が二千五百二十万円に上る。これまでは各校の事務職員らが手紙や電話、家庭訪問などで支払いを求めてきたが、県教委は〇三年度に約二千万円だった未納が五千万円以上に膨れ上がった事態を重く受け止め、法的措置に踏み切る。
 当面は、成人した百数十人の卒業生を対象に督促を予告した上で、時効(五年)が近い順に申し立てる。支払い督促は民事訴訟法上の手続きで、卒業生側が異議を申し立てれば訴訟になり、異議がなければ給料差し押さえなどが可能になる。
 未納額の大半は数万円程度で最大でも約三十万円。県教委は成人した卒業生なら支払い可能とみており、「一括払いは難しくても、月々五千円でもいいので分割払いなどの相談に応じたい」と説明。「学校でなく裁判所から督促状が届くとなれば、対応が変わるはず」と抑止効果などに期待し、末成年者や在校生への督促も検討している。
 全国では広島県教委が二〇〇〇年から法的措置を取り始め、ピーク時の一九九九年度には約四千四百万円だった未納額が二〇〇六年度以降は一千万円を切ったという。当初は年百件以上あった督促申し立ても〇七年度は十五件に減少。同県教委の担当者は「方針が保護者らに浸透し、悪質な未納が少なくなった」と話している。

県立高校の授業料
全日制が年11万8800円で、定時制は年3万2400円。県教委は家庭の収入に応じて学費の減免制度や奨学金制度を設けている。2007年度には県立高校(全日・定時制)に通う10万9037人のうち、延べ6115人が全額、1503人が半額免除を受けた。月2万円の奨学金は1970人が利用した。