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不起立教員の氏名収集問題

神奈川新聞2008年11月14日

情報消去求め県提訴
18人、慰謝料も請求

 県教育委員会が、県立学校の卒業式・入学式で君が代斉唱時に起立しなかった教職員の氏名を収集している問題で、収集に反対する教職員計十八人が十七日、県に対し、過去に収集した個人情報の消去と、これまでの収集に対する慰謝料を支払うように求める訴えを横浜地裁に起こした。
 訴状では、卒業式や入学式での国歌斉唱などは「国家の象徴である国旗、国家にどのように向き合うかという問題」とした上で、「不起立行為は不起立者の人格形成をなす人生観・世界観の発露で、原告らの内心を示す情報」と主張。
 氏名収集は思想信条に関する個人情報収集を制限する県個人情報保護条例に違反するとして、過去に収集した個人情報消去と、二〇〇七年度卒業式と〇八年入学式で氏名が収集されたことで精神的損害を被ったとして、一人当たり百万円、計一千八百万円の慰謝料支払いを求めた。
 提訴後、岡田尚弁護団長は「県民の個人情報がどう取り扱われるかを問う裁判」と指摘。原告団長の県立高校男性教諭(59)は「生徒に、信念は大切にしなければいけないと伝えたい」と訴えた。
 県教委は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
 この問題をめぐっては、県個人情報保護審議会が今年一月、氏名収集は「不適当」との答申を出した。しかし、県教委は二月に「不起立者への指導上必要」との方針を示し、〇六年から始めた収集を継続している。