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児童生徒の暴力最多

神奈川新聞2010年09月15日


09年度調査 神奈川5年連続ワースト

 2009年度に全国の国公私立の小中高校が把握した学校内外での児童・生徒による暴力行為の件数は4年連続で増加し、現在の方式で調査を取り始めた06年度以降、過去最多の計6万913件に上ったことが14日、文部科学省の問題行動調査で分かった。中学の割合が全体の72%を占め、小中いずれも過去最多だった。計8902件の神奈川県は5年連続で全国最多となった。

 いじめは08年度より1万1870件減の7万2778件(うち神奈川県は3779件)。自殺した児童生徒は29人増の165人で、いじめ絡みとされたのは中高で2人だった。
 文科省は「暴力行為の増加は規範意識の欠如などが背景にあり、憂慮すべき状況」として、地域と連携して早期の対応に努めるよう全国の教育委員会に通知を出した。いじめの減少については「個人面談などを通じて実態把握に取り組んだことが未然の防止につながった」としている。
 暴力行為の内訳は「児童・生徒間」が3万4277件(同4463件)、「器物損壊」1万6604件(同3106件)、「対教師」8304件(同1189件)、見知らぬ人らへの「対人」1728件(同144件)。
 学校種別では小学校が631件増の7115件、中学校は961件増の4万3715件、高校は297件減り1万83件。被害者が病院で治療したケースは全体で1万1708件だった。
 いじめは小学校3万4766件、中学校3万2111件、高校5642件、特別支援学校259件。いじめを把握した学校の割合は、小学校で32%、中学校54%、高校37%、特別支援学校10%。全体では38%で、08年度より2ポイント減った。
 内容(複数回答)は「冷やかしや脅し文句」が65%と最多で、携帯電話のメールなどによる中傷は4%。いじめを理由に出席停止にしたケースも中学で2件あった。
 一方、高校の中退者は9295人減の5万6948人(同3287人)で、在籍者に占める割合は2%。理由のトップは「学校生活・学業不適応」で39%だった。

収まらない小中の荒れ
 文部科学省の問題行動調査で14日、2009年度の暴力行為の発生件数が小中学校いずれも過去最多に達した。小学校は7年連続、中学校は4年連続で増加。収まらない荒れの対処に教育現場の模索が続く。
 唐突に殴り合いのけんかが始まり、先生に向かってはさみが飛ぶことも−。東京都の公立小男性教諭(54)が昨年、受け持った4年生学級は「荒れ」そのものだった。共働きや母子家庭の子が多く「親に構ってもらえないつらさが背景にある」と感じた。「ただ、親を責めてはいけない。親も生きづらい世の中だから」
 児童の学校での頑張りを保護者に積極的に伝え「家でほめてあげて」と話した。家庭の会話も増え、クラスは徐々に落ち着きを取り戻し、昨年11月ごろには暴力行為もほぼ消滅。「親や教師に見守られているという安心感が子どもには必要だ」と話す。
 千人当たりの暴力行為が7・7人と比較的多かった高知県は、全国学カテストで下位が続く。県内公立中の男性教諭は「暴力に及ぶ子の多くは家庭が経済的困難を抱え、学力も課題がある。食事をまともに食べていない子もおり、荒れてしまうのは当然」と指摘する。
 暴力行為件数が8902件と全国最多だった神奈川県の教育委員会担当者は「今の子は近所で群れて遊ぶことがないなど人間関係づくりが十分にできてない。代わりに学校が仲間づくりの場をつくらないといけなくなっている」と話した。