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県教委 教科書採択

神奈川新聞2011年08月03日


平塚中等学校で育鵬社
 −新1年生から使用−

 県教育委員会(平出彦仁委員長)は2日、定例会を開き、県立平塚中等教学校前期課程(中学相当)で来春から4年間使用する歴史教科書について、国を愛する心を育むことを主眼に置く育鵬社版を採択した。県内で同社の教科書が採択されるのは、藤沢市(歴史・公民)に次いで2例目。
 定例会では、同校と相模原中等教育学校の9教科15種目の教科書が採択された。
 在校生は現在の教科書を継続して使うため、育鵬社の歴史教科書は来春入学する新1年生(160人)から使用される。
 県立学校の教科書は、各校の使用希望を受け、県教科用図書選定審議会が県教委に答申する。平塚中等教育学校は育鵬社の「中学社会 新しい日本の歴史」を希望していた。
 先月26日の県教委臨時会で「目指す生徒像と教科書の希望理由の関連が不透明」などの疑問が挙げられ、継続審議となっていた。(遠藤綾乃)

望月校長 「異論は教員がフォローする」−神高教は抗議文
 県立平塚中等教育学校・望月正大校長は゜育鵬社版は、イラストや文章のシンプルさなどを評価し使用希望を出した。社会化の教員と議論し、私が自分の考えを述べ、教員も理解してくれた」と経緯を説明。
 「歴史に百パーセントの正解はない。異論や論争がある部分は、補足資料などを使い教員が授業でフォローしていく」と話した。
 一方、県高等学校教職員組合(神高教)は2日、望月校長宛てに抗議文を出した。
 抗議文では「社会科の教育が希望した教科書の変更を校長が提起し、一存で決裁した」などと指摘し、教育に政治的観点を持ち込んだとして経緯説明や謝罪ね答申のやり直しを求めた。

 「学校の意向重視」−「使いやすい」全会一致で
 歴史認識をめぐって論争が起きている育鵬社の歴史教科書が2日ね県立平塚中等教育学校(平塚市大原)で使われることが決まった。県教委は「学校現場の意向を重視して採択した」としている。
 この日の委員会には、定員15人に97人が傍聴を希望。同校が目指す教育や教科書選定経過について報告を受け、6人の教育委員が意見を交わした。
 倉橋泰委員(情報誌「ぱど」社長)は「先生が使いやすい教科書がいい。任せるべきだ」と表明。平出彦仁委員長(相模女子大客員教授)は「現場の先生の意向を踏まえないで決めるのはおかしい。先生が良いと思う教科書が選ばれなければいけない」などと述べ、学校の意向を重視するよう求める声が相次ぎ、全会一致で育鵬社の教科書を採択した。
 委員会では教科書の記述内容や歴史認識については論議されておらず、採択に反対するグループは抗議集会を開催。「戦争を肯定的に記述し、見本本と同様の本を市販し教科書宣伝するなど、教科書発行者の倫理観も欠如している」などと批判する声明を出した。(佐野克之)