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富山で日教組研究集会始まる

神奈川新聞2012年1月29日


「何をどうがんばれというのか」
被災地生徒の作文報告

 日教組の第61回教育研究全国集会が28日午前、富山市で始まった。3日間の日程で、全国から延べ約1万人の教員らが参加。リポート約720本が発表され、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故を受けて教育現場で悩む教員や子どもの課題に関連した報告が約1割の70本以上を占める。
 日教組の中村譲委員長はあいさつで震災への対応に触れ「防災教育や減災教育の充実は新しい課題だ」と指摘。子どもや教員の精神面の対策も課題に挙げた。
 28日午後からの分科会では、福島市立平野中学校の藤田美智子教諭(58)が3年生の作文を紹介した。「福島の野菜や果物を食べなければという思いと、食べて大丈夫かという思いの間で揺れている」「頑張ろう福島、と言われるけど何をどう頑張れというのか」。放射線の被ばくや農作物の安全性、風評被害などについて、さまざまな思いが表現されている。
 1学期、淡々と日常を過ごす生徒たちを見て藤田教諭は「なぜこんなに静かなのか」と疑問を抱いたという。聞いてみると「仕方ない」「本当は不安だけど、言ったら友達にばかにされそうで」との答えが返ってきた。
 藤田教諭が国語の授業で、まず学校生活と家庭生活でどんな変化があったかを挙げさせると「体育祭が体育館であった」「福島県産の野菜を食べないようにしている」といった声が出た。
 その上で書いた作文。「近くの果樹園の客が減った。暑い中、頑張って育ててたのに」「福島県民が食べないのに他県民が食べるはずがない」
 生徒に配られた小型線量計「ガラスバッジ」は数値が表示されず、回収して機器にかけないと被ばく線量が分からないことに不満を示す作文も。藤田教諭は「県民性もあるのかもしれないが、生徒はなかなか思いを表現しない。書く過程で何が起きたのか、なぜ起きたのかを考えていかせたい」と語った。