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湘南高定時制演劇部「個性光る演技を」

神奈川新聞2015年3月18日

20日から春季全国大会初出場
全日制強豪と対戦

 県立湘南高校定時制(藤沢市)の演劇部が、20日から高松市で始まる「第9回春季全国高校演劇研究大会」に出場する。全日制の強豪が集う同大会に、定時制高校が駒を進めるのは初の快挙。。生徒らは「一人一人の個性が光る劇をやりたい」と晴れ舞台を心待ちにしている。 (高田 俊吾)

 高校演劇界で全国の舞台は春と夏の計2回。全国9ブロック大会の最優秀チームが夏の大会に、2位相当のチームが春の大会に駒を進める仕組みだ。
 同部は昨年11月に行われた湘南地区大会(16校参加、2校が県大会へ)と県大会(13校参加、2校が南関東大会へ)を経て、今年1月下旬の南関東大会に臨んだ。出場13校のうち優秀賞を獲得し、春の全国大会に推薦された。 
 部員は16〜23歳の男女22人。稽古に割ける時間は、平日午後9時からの1時間だけと制約は多い。顧問の相原健右教諭は「これまでの人生で何らかの挫折や困難に直面してきた生徒が多い。全日制のような厳しさが前面に出た稽古だったら、部はあっという間に壊れてしまったかもしれない」と振り返る。
 その反面、ひとたび集中すると、人間の感情表現は抜群にうまい生徒が多かった。「人生の経験値が高いのだろう。感情を捉えるセンサーが発達しているというのか、普段は人前で話せない子が舞台では人が変わったような力を発揮する」と相原教諭も下を巻く。
 今回の快挙は、足かけ4年の活動の成果だった。創部48年の歴史はあったが、全国へとつながる大会への出場はしばらく途絶えていた同部。久方ぶりに2011年度、湘南地区大会に参戦した。
 再出場1年目の舞台は「もう、ぼろぼろ。素人の失敗の連続だった」と相原教諭。だが、一度舞台を経験したことで部員らが奮い立った。翌年度も翌々年度も県大会へ進出。周囲の評価は自信に変わり、さらに意欲をかき立てた。 
 今回発表する演目は「さよなら小宮くん」というコメディーだ。本番を1週間後に控えた13日には、生徒や教職員、保護者へのお披露目を兼ねた「公開通し稽古」を同校で実施した。
 同校4年の貝沼隆壱さん(19)は「自分たちのやりたい演技を、自分たちなりにやってきたらこういう結果につながった。全国でも自然な感じで表現できれば」と平常心を強調。2年で部長の林見穂さん(17)は「自分たちが楽しまないと見ている人も面白くない。プレッシャーに負けず、頑張りたい」と意欲を語った。