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茅ヶ崎北陵高 移転計画16年

神奈川新聞2018年7月2日

学び舎 いまだ見えず
市議会、県への請願採択も
広大な用地、確保に難航

 県立茅ヶ崎北陵高校(茅ヶ崎市下寺尾)の校舎の建て替えが、当初の計画から16年だった今も進展がない。地元市議会は6月の定例会で、市外も含めた移転先を早急に定めるよう県に求める請願を採択したが、建て替えは十分に面積がある用地の確保は容易ではなく、県教育委員会の選定は難航している。新しい学び舎の建設の見通しが立たないまま、仮説校舎での学校生活は13年目に入った。(松島佳子)

 同校は全日制普通科として1963年に創立。宇宙飛行士の野口聡一さんなど約1万6千人の卒業生を送り出している。
 県教委は校舎の老朽化に伴い、校庭を活用した建て替えを計画したが、2002年に地中から古代の役所「群衙」の跡が見つかったため一時断念。13年に、遺跡を傷つけないよう、校舎の基礎上に木造校舎を建てる計画を打ち出したが、地元市議会や考古学の専門家が「歴史的資産の公開・活用を無視している」などと反対し、中止に追い込まれた。
 一方、生徒は06年から約200メートル先の民有地に建設されたプレハブの仮設校舎で授業を受けている。毎年、入学した生徒や保護者から「この状態はいつまで続くのか」といった質問が出るという。
 こうした状況に、茅ヶ崎市議会は先月29日の第2回定例会で、周辺に限定せず市外を含めて移転先を検討し、早急に新築・移転することを県に求める請願を賛成多数で採択。賛成議員からは「生徒が安定した学校生活を送れるよう、市外を含めて移転先を検討すべきだ」との意見が出された。
 ただ、議員の一部は市外移転に反対。「高校の名称にふさわしい場所や地元住民の要望を尊重してきた経緯があり、現在交渉に取り組んでいる茅ヶ崎市内の場所での移転を推進すべき」と主張し、市内での早期新築移転を求める意見書を議会議案として提出した。同議案は否決されたが、移転は市内にとどめてほしいという声が地元に根強いことも印象付けた。
 市は当初から移転を前提に、同校南側から発掘された古代寺院の遺跡「七堂伽藍跡」も合わせ、一帯を国指定の史跡公園として整備する地元の意向を示しており、15年3月には国の史跡の公開などを進めたい考えだが、肝心の移転先は現在もめどが立っていない。
 市教委によると、同校の敷地面積は約3万6千平方メートル。同程度の面積を確保できる場所は市内にに限られている。現時点で市内北部に移転先の候補地があり、県教委が地権者と交渉中という。
 県教委は、移転先選びが難航していることを認めたうえで、市議会の意見書採択を受けて「市と協議しながら、今後の対応を検討していく」とした。