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「実力」評価されるべき-横浜清陵 県内初21世紀枠

神奈川新聞2025年3月13日

県高野連専務理事
選考プレゼンで尽力

 春の第97回選抜高校野球大会(3月18日から甲子園)に出場する県立横浜清陵高が12日、本番に向けて大阪入りした。同校が選ばれた「21世紀枠」の制度は2001年から採用され、神奈川県からの選出は初めて。その快挙の裏には、選考過程において県高野連・榊原秀樹専務理事の尽力がある。榊原さんはプレゼンでこう訴えたという。「凍えるような寒さもなければ、ゆで上がるような暑さもない。でも県立高が勝ち上がる難しさは全国でトップ。彼らは県ベスト8に入った。実力がある学校だ」 (松浪 空矢)

 21世紀枠は、野球部の活動における困難の克服や地域への貢献などを評価するもので、全国9地区の候補から2校が選ばれる。自然災害や過疎化による部員不足などの影響を受けながらも励む学校が、比較的選出されやすい傾向にある。
 選考は各都道府県の高野連理事が集い、3分30秒と短い時間の中で推薦理由を選考委員15人の前で順次話し、その後質疑応答が行われるという。球児の未来が懸かる狭き門。“一発勝負”の現場では独特の緊張感が漂う。選手や関係者の思いを、当日は理事一人が背負うことになるからだ。
 こうした理由から、榊原さんは勤務する横浜隼人高や県高野連の事務所、特に車の中で毎日繰り返しプレゼン用の原稿を音読し、加筆、修正を繰り返したという。「努力し続けている普通の学校も評価されるべきだ」。その思いを伝えるため万全の準備を整えた。
 迎えた1月24日、大阪市内での選考当日。榊原さんは熱意のこもったスピーチで訴えた。終了後は関係者から「神奈川県の圧がすごかった。俺にもし投票権があったら横浜清陵に1票入れていたよ」との声もあり、手応えを感じたという。
 清陵の推薦理由について、榊原さんは「(学校から)ランドマークも見える。部員も少ない。(21世紀枠として)もう1校の壱岐のように離島でもなければ、進学校でもない普通の学校」と明かした上で、「でも部員不足にならないように努力し、年を追うごとに『清陵で野球をやりたい』という中学生が増えている。神奈川県という激戦の地で結果も残している。選手らの自治も素晴らしい」と太鼓判を押した。
 「いつも通りのプレーで十分戦える。気負わず神奈川の野球の熱さを見せてほしい」―。榊原さんは熱い思いを胸に、横浜清陵ナインが甲子園で躍動する姿を楽しみにしている。