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核抑止 自身の問題に 川崎・生田東高で特別授業

神奈川新聞2025年12月17日

被爆証言を基に行動観察

 平和や核抑止について考える特別授業が16日、県立生田東高校(川崎市多摩区)で行なわれた。核廃絶を目指して平和教育に取り組む講師を交え、選択科目で政治経済を学ぶ3年生約250人が核を巡る社会について議論を交わしながら、改めて自身の問題として考えた。(木村 陽香)

 授業は「被団協ノーベル平和賞受賞から1年・軍縮と被爆者のメッセージについて考える」をテーマに、2こま連続の計約80分。生徒は1939年の広島の地図を用いて大本営や被服支廠を探したり、被爆者の証言を基に自分だったらどう行動するかを考えたりした。
 核抑止を巡る議論では、さまざまな意見が飛び交った。「地球全体で核をやめようと言っても拒む国はある。持っていた方が他の国になめられない」と肯定的な見方が出る一方、「相手の国が信頼できないから核兵器を持つのではないか。信頼してもらうため『攻撃する意思はない』と宣言する国が出る必要があるのでは」と信頼醸成に重きを置く考えが発表された。
 音で核兵器の存在を実感する時間も設けられた。主催した一般社団法人かたわら(横浜市西区)の高橋悠太代表理事(25)は世界で推定約1万2先発の核弾頭が保有されていると説明した上で、1万2千個のビー玉を缶の中に投入。教室に「ザーッ」と無機質な音が響き渡ると、生徒は床にあふれ出たビー玉を見つめながらこの日の授業を振り返り、被害の甚大さに思いを巡らせた。
 高橋さんは、核弾頭を装着したとされるミサイルの誤射など予期せぬ事故が起きている実態や非核兵器地帯など核抑止に頼らないエリアが実現している現状についても説明。「核兵器は今すぐにはなくならない。だからどんな世界で生きていきたいか、一緒に考えていきたい」と呼びかけた。
 「日本も核兵器を持つべきか」を問うた生徒への事前アンケートでは80%が否定し、12%が肯定した。新津舞さん(18)は「目をつむって『自分だったら』と考えたり、ビー玉の音を聞いたりして、核兵器について自分事として考える時間になり、とても良かった」と話した。
 高橋代表理事は「核保有についてタブー視されていたが、今では平然と非核三原則の見直しなどが議論されようとしている」と危機感を強め、授業を通して「核を巡るニュースを身近な問題として捉え、平和をつくっていく人材を育てていきたい」と語った。