今春卒業する中学3年生に進路志望調査を実施した自治体のうち、18都府県で全日制公立高の志望が前年より減り、16都府県は過去最低だったことが15日、共同通信の集計で分かった。2026年度から私立高の授業料無償化が大幅に拡充されることが影響し、公立離れが進んだとみられる。
調査を実施していたのは27都府県で、前年と数値が比較可能なのは20都府県。福井や静岡など6県は非公表だったり公私立をまとめた形で公表したりといった理由で除外し、大阪府は校長会調査のため対象外とした。
公立高志望の数値は、卒業予定者や進学希望者に占める割合を示す自治体と、公立高の定員に対する倍率で示す自治体があり、長野県は志願人数を出した。調査の時点や目的はそれぞれ異なり、志願段階のため実際の出願状況は異なる可能性がある。
公立志望が過去最低の16都府県をみると、割合で示した12都府県は、栃木、埼玉、滋賀、鹿児島が3ポイント台、群馬、神奈川、京都、兵庫、岡山が2ポイント台の減少。埼玉は60%を割り込み、京都は50%を下回った。神奈川は72・7%だった。倍率で示した3県は0・01~0・04ポイント下がった。長野県は647人減の1万2026人で、連続して数値が確認できるここ8年で最少だった。
倍率が0・93倍に下がった岐阜県は過去資料が非公表であることなどを理由に「過去最低かどうか公言しない」とし、1・02倍に下がった佐賀県は調査方法が変更され「過去分と単純比較できない」とした。青森と徳島は公立志望が増えた。
私立高の志望状況も調査していた12府県では、徳島以外の11府県で私立志望が増え、うち神奈川など9府県が過去最高となった。神奈川は10・5%だった。
高校無償化は、26年度から所得制限が完全撤廃され、私立の加算分の上限額が45万7200円に引き上げられる。
【図】
今春卒業する中学3年生の公立高志望の状況
| 前年より減少した18都府県 |
<過去最低>
宮城、栃木、群馬、埼玉、東京、神奈川、山梨、長野、
愛知、三重、滋賀、京都、兵庫、岡山、長崎、鹿児島 |
| 岐阜、佐賀 |
| 前年より増加した2県 |
| 青森、徳島 |
※前年との比較が可能な20都府県の進路志望調査を共同通信が集計
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高校無償化 2009年に誕生した民主党政権が導入した政策で、公立は授業料を徴収せず、私立生には公立授業料相当分の就学支援金を支給し、低所得世帯は加算した。その後、政権復帰した自民党が所得制限を設けた。25年度から所得制限を撤廃して全ての高校生に年11万8800円を支給し、公立は完全無償に。26年度からは私立の加算分も所得制限をなくし、上限額を私立授業料平均額相当の45万7200円に引き上げる。
価値の打ち出し必要
早稲田大の菊地栄治教授(教育社会学)の話 公立高志望の減少は無償化拡充の影響の可能性が大きい。施設の充実度などが高校選びの判断材料になっており、施設整備の十分な予算がない公立は今後も志望者減が続くだろう。特に大都市では公立と私立が競争させられている。多様な生徒を受け入れる公立高は、社会の基盤となる貴重な公共財で、同じ土俵に上がるのではなく、公立高の価値や意義をきちんと打ち出すべきだ。少子化によって各地で公立高再編が進んでおり、無償化拡充で加速も予想される。単に定員割れだからと統廃合を決めず、地域の実情に応じた柔軟な対応が必要だ。