高総検レポートNo.11  定員内不合格をなくそう

高総検レポート No 11

1991年6月8日発行

定員内不合格をなくそう


1.1991年度入選結果

 1991年度の入選の結果は次の通りであった。公立高校(全日制の課程)の入学定員は70,496人で受検者は76,070人,合格者は70,149人であった。平均競争率(受検者数/合格者数)は1.08倍であった。横浜の学区全体では1,800名を超える不合格者と200名を超える欠員を出した。一方、秦野・伊勢原学区では不合格者はわずかに10名で欠員は0であった(入学定員はそれぞれ2,258名と2,562名)。事前の輪切り選抜無しには考えられない数字である。次に,海外帰国生徒特別募集6校(市立1校を含む)の結果は入学定員75名,受験者73名,合格者56名,欠員19名であった。
 また,コースの募集は,今年度より磯子高校の国際ビジネスが加わり,全部で4校6コースとなった。入学定員352名に対し,志願者数377名,合格者数353名であり,志願変更ができないこともあり,事前の調整に苦労していることがうかがえる。職業科で行われた推薦入試の結果は,農業科が志願者数83名,合格者数68名,工業科が志願者数435名,合格者数355名,水産科が志願者数22名,合格者数16名,看護科志願者数22名,合格者数17名であった。工業科の中では,横浜,川崎地区において志願者が多く,倍率が高かったのが特徴的である。
 欠員は443名であり,前年度138名の3倍以上となった。特に横浜の学区が合計で200名を超えた。再募集は3名以上の欠員を出した27校(市立1校を含む)で行われ,432人の再募集に対し受検者は,1,080人,合格者は284人という結果であった。平均競争率(受検者数/合格者数)は3.80倍であり,前年度の5.82倍を下回った。科別に見ると,普通科は3.21倍,職業科は6.79倍であった。

2.再募集に関するアンケートの集約結果

 高総検「学区・入選」グループでは,3月18日および4月5日に再募集をした学校にアンケート調査をおこなった。そのなかで,定員内不合格者を出した学校にその主な理由または選考過程をたずねた。どの学校も,「内申書,アチープメントテスト,学カ検査の成績が著しく悪く,当該校の学習についていけないという判断をし,不合格にした」という回答であった。また,一部の学校では少数意見ながら「定員内なのだから合格させるべきだ」という回答もあった。校長が県教委に出向き,(定員内不合格について?)説明をしてきたという学校が一校あった。
 また,倍率の高い学校にその理由を尋ねたところ,@低学力者が多い,A地理的に近い,B交通の便が良い,C再募集をした学校が学区内で少なかった,D再募集をした工業高校が1校だけだった,という回答であった。
 別表のように,再募集において37名の定員内不合格者が出た。なお,一次募集の段階では1校で1名の定員内不合格者を出した。前年度は再募集で2名(1校)の定員内不合格者を出しただけであり,本年度の数はかなり多いと言わなければならない。本年度のもう一つの特徴としては,27校中11校において受検者が募集定員を下回ったということがあげられる。にもかかわらず,そのうちの9校が定員内不合格者を出したのである。多くは「進学校」といわれる学校であった。また,不合格者のなかには少数ではあるが障害者も含まれている。
 一方では,150名前後の受検生が押し寄せた学校も4校あり,そうした学校では,急きょ臨時休校にして入選業務に臨まざるをえなかったのである。また,入選委員会の原案を職員会議で覆し,定員内不合格者を出さなかった,という回答が津久井浜高校からはよせられた。また,新羽,野庭,高浜高校では定員を越えて合格させている。

3.適格者主義から希望者全入へ

 生徒の急減期を迎え,受検者が定員を下回る状況は今後も十分考えられる。希望者全入の運動を続けてきた以上,私たちは定員内不合格者を出さない運動を強めなけれぼならない。適格者主義を克服し,障害者も含めた希望者全入に道を開くときが来ている。
 200名を越える不合格者が出た学校もあれば,1クラス規模の欠員が出た学校もある。程度の違いはあっても全県的に行われている輪切り選抜は「学校間格差」を温存するだけである。希望者全入を展望した調整として考えられるのは,学区縮小とともに単独選抜から総合選抜ヘ入選制度を変えることである。
 また,検討機関の設置による制度改革まで,私たちにできる運動として地元集中受検運動が提起されている。そして,そのためには,父母や地元の中学,神教組との協力関係をつくっていかなければならない。

 最後に,学年末および新学期のお忙しい時期にもかかわらず,アンケートに協力していただきました学校に御礼申し上げます。また,本レポートにつきましてご意見,要望等がありましたら,どしどし組合本部までお寄せ下さい。


学校名 (学区) 募集人員 受験者数 合格者数 不合格者数 定員内不合格 欠員
A(横浜東部) 6 3 1 2 2 5
B(横浜東部) 4 5 5 0   0
C(横浜東部) 16 19 14 5 2 2
D(横浜東部) 21 143 23 120   0
E(横浜北部) 27 3 3 0   24
F(横浜北部) 29 18 10 8 8 19
G(横浜北部) 11 12 11 1   0
H(横浜西部) 20 27 18 9 2 2
I(横浜西部) 9 3 3 0   6
J(横浜西部) 16 13 8 5 5 8
K(横浜中部) 25 11 10 1 1 15
L(横浜中部) 15 183 15 168   0
M(横浜南部) 4 27 7 20   0
N(川崎南部) 9 13 7 6 2 2
O(川崎南部) 6 3 1 2 2 5
P(川崎北部) 49 7 2 5 5 47
Q(川崎北部) 27 18 12 6 6 17
R(横・三) 3 2 1 1 1 2
S(横・三) 7 15 7 8   0
T(横・三) 3 6 3 3   0
U(平塚) 53 155 55 100   0
V(県西) 8 18 8 10   0
W(県央) 10 7 6 1 1 4
X(県央) 7 50 7 43   0
普通科計 385 761 237 524 37 158
商工   商業 6 14 6 8   0
      情報処理 8 14 8 6   0
平塚工業 電気 3 13 3 10   0
      化学 17 191 17 174   0
川崎市立商業 商業 13 87 13 74   0
職業科計 47 319 47 272   0
総計 432 1,080 284 796 37 158