高総検レポート No 52

2001年9月3日発行
 

入選方法の抜本的改善を要求しよう

〜2001年度入選に関するアンケート集約結果より〜

「複数志願制をどのように思いますか」回答。3択式。
 
 「新神奈川方式」の入試も、すでに5回目が行われました。高総検では、今年も各分会入選担当者にアンケートをお願いし、回答を頂きました。お忙しい中、ご協力ありがとうございました。
 今年の入選でも、複数志願制という方式や、パソコンと通信でのデータ処理の方法が一向に改善されませんでした。そればかりか、現場にとってきつい日程や、さらに採点・点検の繰り返しが強行されるという今までにない状況で行われました。その結果、今回寄せられた回答には、県に対する現場の強い怒りが込められていました。以下に、自由記入欄に書かれた内容を載せました。趣旨が近いものについては重複を避け、なるべくいろいろな意見を載せるようにしてあります。
 なお、回答は85分会からいただきました(昨年は120分会)。やや減ってしまったのは残念なのですが、私達は、繰り返しこのような結果を出しながら、本部執行部を通じて県教委へ要求を続けてゆく必要があると考えています。
 
Q1 「複数志願制」をどのように思いますか。
選択[よいと思う 4 改善すべき 23 廃止すべき 55] 無記入 3
○ 第2希望校に回って合格する生徒が、気持ちを切り変えてくれればよいけれど、なかなかうまくいかず、「自分は回されたんだ。」という気分で学校生活に身が入らない場合が多々あるのでよくない。(同趣旨多数)
○ 新聞発表の倍率は意味がない。第1の志願者/入学定員 の方が現実に近い。(同趣旨数件)
○ 今年もいくつかの学校で再募集が生じた。本校は今年は大丈夫であったが、第1希望で合格せず他校に回った受検生にとって(その子が第2で合格しようとしまいと)自分を落とした学校が再募集を行うという実態は納得できないのではないか。つまり事実上の定員内不合格が問題になるということ。(同趣旨数件)
○ 志願変更は1回で、A,B共に変更する
○ 推薦実施校…第2希望をやめる。
推薦を行わない高校…第1希望の発表後に、あらためて第2希望の募集をする。
○ 第1希望面接でA科に入学したい理由を述べ、第2希望でB科に入学したい理由を述べなければならないのは矛盾している。
○ 受検機会の拡大とはいっても結局上位の学校から玉つきのように降りてきて押し出されているだけだ。中学校の進路指導の段階で調整されきっている。また現行のA値B値のバランスからすると自分の行きたい高校への挑戦はあきらめざるを得ない。
○ 今年度より推薦を開始し、それを含めると3回の判定会議を行わねばならず、その日程等もデータ通信を中心に組まれていて、仕事量、内容面全てにわたって繁雑になっている。根本的な改善を要求したい。
○ 入試制度を分かりにくく複雑にしているだけで、しかもAAタイプが多数を占める現状では、効果的であるとはいえない。普通科に推薦が導入される2004年度より全面的に廃止してほしい。
○ 教員の入試の手間は多いが、生徒のためにはよいものと思われる。
○ 推薦入試(中学の調査書によるもの)、学科テストによるものの2本立ぐらいが適当
 
Q2 「総合的選考」について、感じている問題点等、ご意見をお聞かせ下さい。
○ 調査書の文章記載をポイント化するにあたり、受検者全員に公平な目でポイントをあたえることが難しい。(同趣旨極めて多数)
○ 中学校側の記載者の力量によるところが多く、高校側からすると、公平な判断材料になるか疑問である。(同趣旨多数)
○ 一つの方法として評価する部分もあるが、1次選考と2次選考に分けずに、最初から一本化した方が、生徒の混乱が少ない。(同趣旨複数)
○ 「各学校で特色を出す」という観点ではよいと思うが、全ての公立学校で同じ問題で入試をやっているという点。公立学校での役割として誰でも平等に教育を受けられる。というものがあるという点を考えたときにあまりに各学校でちがいすぎるというのはどうかと思う。
○ 総合的選考の元になる、「特色」が不十分な以上、見直すべきである。この制度がはじまった時、「特色」により「希望」した生徒はもうとっくに卒業しているではないか。これでは「サギ」ではないですか。
○ それぞれの学校の特色を出すことを求められ、学校独自の総合的選考があるのに、それで決めるのは募集人員の半分にもいかない。学校それぞれの特色を出すならば、最初から総合的選考を入れるべきだと思う。
○ 各校が独自に行っているので、ずいぶん、中学生にとっては、難しい選択になっている。もっと、入試の素点を重視すべき。
○ 重視する内容で合格した生徒4名。重視する内容を持っていてもはじめのC順で合格する生徒がほとんどで、重視する内容で合格する生徒は少ないので総合的選考の必要性ない
○ たとえば部活をよくがんばった等の客観的評価むずかしい。そもそも、そのような中学生を入学させた後の指導体制の条件が整っていないのに部活ができる子を入学させるのも恥しい。
○ 筆記試験という客観的な評価が、選抜方法の基準として生かされない。(特に、職業高校の場合)受検生保護者、中学校の批判に堪えられる選考方法ではない。
○ 選考基準がわからず、開示等で合否に疑問を持つ受検生も少なくない。
○ 県の対応に「ユレ」がある。数値化するなと言ったり、A・Bなら可とか、等々、年毎・人毎により言うことが異なる。当然、選ぶ側にも「ユレ」が生じやすくなる。
○ 中学校や受験生には不透明な部分が多く塾や予備校の影響力が大きくなっている。
○ 普通高校で特色による選抜を行う、というところに無理がある。苦肉の「総合的選考」になっている学校が多いのではないか。
○ 学力が低くても、基本的生活習慣が身についている生徒を選抜することができて良い。
○ 良悪はともかく、特徴ある生徒を集めたいと考えれば、それに対応する制度としては一定の評価はできると思う。
 
Q3 入選の日程について、問題点等、ご意見をお聞かせ下さい。
○ 月曜日入試は、問題点が多すぎる。来年度以降2度とないようにして欲しい。(同趣旨極めて多数)
○ とにかく、日程がつまりすぎていて忙しすぎる。ミスがでるのも当然だ。入選委員やコンピュータ係も授業をしていることを県教委は理解しているのであろうか。(同趣旨極めて多数)
○ 受検生のことを考えれば、合格発表までが長過ぎると思う。←「複数志願制」のためである。(同趣旨多数)
○ 卒業式3月1日に影響あるような合格発表日はやめてもらいたい。(同趣旨多数)
○ とにかく年度当初に入選の日程がわからないと現場はすごく混乱する。県教委は現場のことを全く考えていない。3/2に合格発表などその最たるものだ。
○ 専門高校は4科(本校)あるので、処理が複雑になる。そこで、ゆとりのある日程を組みたい。
○ 私学との関係があるが、志願提出からはじまる全日程を全体的に早めてほしい。
○ 日程が全体的に早すぎる。あと5〜7日後ろにずらす。
○ 大巾な超過勤務(入選委員中心)がある。特勤や回復措置では不十分。一般職員についても特勤を事実上「付けるな」という状況は問題。
○ 推薦日程きびしい。面接日は人数に関係なく生徒は自宅学習にして欲しい。
○ 入選のひどい日程設定が、卒業式や期末テスト等に悪影響を与えた。これに、推薦入試が加わると、ますます厳しい日程になり、日程的余裕がなくなることは確実。対応を考えるべき。
○ 定時制二次募集が3月27日(火)、発表が3月28日(水)、手続が3月30日(金)、春休みであり教員に大きな負担がある。また発表、手続の間に一日しかないのは生徒にとってもきびしい。
○ 本校では授業カットを多く入れたので日程上は問題がなかった。
 
Q4 採点業務に関わって、何か不都合な点はありますか。
○ すべてマークシートにして県で採点すべき。(同趣旨多数)
○ 解答用紙がまったく改善されず、チェックのみ多くなったため、むしろ間違いを誘発する可能性がある。(同趣旨多数)
○ 1日で、今回のようなマニュアルにそっての採点は、体力的に厳しいものがある。2日間採点日をとってほしい。(同趣旨多数)
○ 採点、点検に予想以上の時間がかかり、急遽授業時間をカットせざるをえなかった。
○ 採点2回は大変だが、ミスをなくすという意味では致し方ないと思う。ただ答案用紙の改善がされていない。解答枠を大きくするのではなく、余白を広くとらなければ無意味。(同趣旨数件)
○ 点検や見直しが多過ぎ緊張感が薄れてしまっている。もっと少なくて良い。(同趣旨数件)
○ 時間がかかりすぎて、以後の日程に支障が出た。原案作成会議は午前2時までかかった。
○ 採点回数や点検回数をただ単に増やすことだけでミスをなくそうとしているのは原始的な感じ。問題形式や解答様式にももっと工夫をこらして、ミスをなくそうとすべきで、最終的には教員の手から採点業務を離してほしい。今のままでは労多くして益、効果少なしの感じ。
○ 県の指示に対応できるよう、採点方法、手順を検討、工夫してきたにもかかわらず、解答用紙の様式が事前に連絡されていたものとは違っており、混乱をきたした。「ミスのないよう」との県からの指示だが、かえってミスを誘発するようなものとなっていった。<採点、点検、素点入力、入力点検>という作業には、本校では最低でも「1.5日」を要する。
○ マニュアルが使えない。このシステムをつくった責任者を明らかにすべきである。
○ 下敷使用、定規使用禁止にもかかわらず、問題用紙から解答用紙を生徒自身に切り離させる方式は問題がある。
○ 年々業務量が増えるのに現場の努力で何とかせよ!という県教委の姿勢は問題がある。
○ 不都合な点だらけ。採点・点検は必要だと思うが、それを解答欄に残すのなら、解答欄の変更は必至のはず。制度にふり回されて、現場の工夫・苦労を考えない当局の姿勢に断固抗議する。
○ 人間が行なう以上ミスはつきものである。県教委も「ヒューマン・エラーはつきもの」と発言している以上、「多少のミスはある」と割り切った入試制度を考えるべきである。
○ 他教科に点検を回すことで時間のロスがあった。
 
Q5 入選支援システム(パソコン業務)で、何か不都合はありましたか。
○ 送信、受信の日、時間に制約があるため、担当者、授業、行事に支障が出る。(同趣旨多数)
○ システムが古い。現在の環境に対応するシステムにして欲しい。エクセルが標準の学校にロータスを強いるのも疑問。ソフトウェア間でファイルをコンバートして不具合がないのか確実な保証がない。だから、余計な点検が増える。(同趣旨多数)
○ マニュアルが不親切なまま改善されていなく、とてもわかりにくい。(同趣旨数件)
○ 通信のデータが(何を送っているのか)みえない、わからない。(同趣旨数件)
○ 担当者の仕事量が多く、毎年、同じ者が担当することになっている。希望してやる人、やれる人がいないため。(同趣旨数件)
○ 通信ができなくなるなどシステムの不都合が多かった。(同趣旨数件)
○ 送信クリックと他からFaxが送られてくるのとのタイミングが一致すると送信できなくなってしまう。(学校のスイッチは切り換えても外からFaxがくるのを止めることはできない)
○ 通信日程があまりにもきつい。12時B変更締切、送信3時。その間入力、照合、授業もある。本校は6学科を抱えており、業務は普通校の6倍である。県には本校の存在が意識されていないとしか思えない。
○ 志願変更の結果によって整理番号を2つ持つ受検生が発生(連番)、しかも前後どちらが最終的なものか分からない。
○ 原因不明のエラー(.DLL がらみ)があった。問い合わせると即答だった。よくあるエラーのようだ。ならばマニュアルに記載しろ!
○ 自校→自校(自学科→他学科)のデータで面接のデータが転送しない。ハングアップ2回。(自←→自)は転送されている。昨年もあり、本年もトラブった。第3分冊P37、P57。
○ マニュアルの不備があった。一般募集の出願締切り日前日に、願書の仮登録をしたら、翌日締め切り日に登録のとき、作業が進行できなくなり、推薦業務終了時点の保存データから願書入力をやり直した。他に、幾つもマニュアルの通りに作業を進めていってもうまくできないことがあった。
○ 願書整理簿の作成や生徒証の台帳発行等、本来は教諭の仕事というより事務の仕事や管理職の仕事を肩代わりして行なっていることが多い。事務のPCと入選のPCを校内のLANでつないでおけば、上記の仕事はすぐに本来の担当者に円滑に仕事をまわせると思う。
○ 素点確定後、調査書入力の訂正が入り、調査書入力の確定解除し再入力、確定しただけではC値に計算されない。再度素点も解除、確定をしなければならない。このことを知らずに作業を続けたところもあると思う。