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高校神奈川 No.561

2009年2月25日

神奈川高教組
第51次教育研究集会開催
記念講演「アイヌとして生きて」
アイヌ解放運動家 宇梶静江さん

アイヌに男尊女卑はない◆
10月23日(土)、平沼高校において神高教第51次教育研究集会が行われた。午前中の全体会でのアイヌ解放運動家、宇梶静江さんの面演に続いて、午後からは分科会に分かれての実践報告や討議が行われた。今回は特に、横浜北支部有志の企画による特別分科会「定時制から…学校を、時代を考える」が開催されたことが特筆される。例年行われている教研小委員会などが中心となった分科会でも活発な議論が行われた。

 はじめに執行委員長の園部さんから開会のあいさつがなされた。今多くの職場では、多忙化のなかで一人一人の生徒の話を十分に聞いてあげるゆとりが失われている。しかし、それは是正されねばならない。私自身、経済的な要因で学校を続けられなくなった子供たちを多く目撃した。経済的な格差が、教育格差を生み出すことにつながってしまう。そのため安易な私費依存については、引き続き見直していく必要があるし、その分、毎年の教育予算要求の取り組みの重要性が増しているのだ、という趣旨のアピールがなされた。
 午前中の全大会では、アイヌ解放運動家の宇梶静江さんによる「アイヌとして生きて」という題の講演があった。
 「先日、先住民としての権利が国会で認められました。でも、それは、からっぽにして、ふたも取れたまま弁当箱を返されたようなもので、私たちは、その弁当箱に、魂を詰め直す仕事をこれからしなければならないのです。」という言葉に、宇梶さんの基本的な姿勢があらわれていた。ここで言う「魂」というのは、アイヌの持っている豊かな自然とのつながりのことである。
 かつての「アイヌ土人法」は、土地も狩猟権もすべてアイヌの手から取り上げるものだった。鮭や、熊や、鹿や、アイヌがそれによって長い間、ともに大地に生きる仲間として生きて来たものとのつながりを断ち切る酷いものだった。アイヌが何千年も続けて来た「食べる」こと、つまり「生きる」ことそれ自体を奪われてしまった。それを回復していくこと、それがこれからアイヌのやっていく仕事である。大地から採れる山菜や野菜、その利用の仕方をアイヌは知っている。アイヌに男尊女卑はない。アイヌの共食の文化は、すべてを平等に分配する。だから、アイヌは差別をしない。差別ということを知らない。そのアイヌが差別されて来た。そういう歴史がある。だから、アイヌは全国の差別反対の声をあげている人達とつながることができるのだ、という趣旨の講演だった。
 おしまいに、参加者から修学旅行で生徒たちとともにアイヌの料理を食べたら、とてもおいしかった話などが紹介されて、今後の可能性への示唆となっていたのがありがたかった。



特別分科会   「定時制から…学校を、時代を考える」
 「定時制から…学校を、時代を考える」をテーマとした特別分科会には、全体で21名の参加がありました。
 まず、今年3月にNHKで放送された「ドキュメントにっぽんの現場『定時制3年4組 〜生徒急増 いま何が〜』」を見ました。
 横浜翠嵐高校の定時制の3年生(現在の4年生)を追った番組で、卒業と卒業後の進路に向けて頑張っている生徒がとても上手に取り上げられており、最後にはほろりとさせられるものでした。
 続いて、この番組に担任として出演された翠嵐分会の平山泰子さんから、お話を伺いました。
 内容は、この番組について、そして番組のための取材を通してわかったことなど、裏話も含めてのお話。今年担任している1年生の生徒の実情。そして、今定時制の抱えている問題など。多岐にわたるお話で、時間はあっという間に過ぎていきました。
 県内定時制全体の生徒数は中学校の卒業生が今の倍近くいた20年前と同じ(むしろ増えている)であり、翠嵐高校では生徒数が10年前の倍になっています。こじんまりした定時制というよりも、夜間の困難校と言ったほうがよい状況にあります。
 さらに具体的な生徒のエピソードは私の想像を越えるものが多く、そのような生徒がクラスに何人もいると聞くと、ただただ驚くばかりでした。そこには経済的な格差の問題を中心に、不登校の生徒、心の病を持つ生徒、外国籍の生徒など、今、社会や学校が抱える課題が本当に集中しています。
 今回、特別分科会をもたせていただくにあたり、"定時制の生徒の状況から格差社会を考える"というような発想で準備を始めましたが、それだけではないことがよくわかりました。
 終了後、平山さんには、このような定時制の実態を伝えることができてよかったと言っていただきましたが、このような定時制のナマの情報をもっと多くの組合員が共有できたらよかったと思っています。