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高校神奈川 No.598

2011年11月26日

神高教は「総括教諭の賃金カット」を容認したのか

書記次長 馬鳥 敦

 今期確定闘争で、県労連は0.11%(439円)の「公民較差」を解消させる手法として、行政職給料表(一)6級を0.35%、7級以上0.55%を減額することで妥結しました。行(一)6級は、教育職給料表でいえば、3級総括教諭に相当します。各分会の総括教諭のみなさんから「なぜ総括だけ減額なのか? 総括は組合員ではないのか?」という疑問が出るのは当然です。ちなみに私も現場では総括教諭であり、組合のルールにしたがって、神高教の役員としても教育職給料表3級が適用されています。
 県当局は、神奈川県人事委員会の「本年の民間給与との格差解消に当たっては、国との均衡を基本に、本県の実情を考慮して、50歳台後半層の職員の給与を抑制する措置を講じることが適当」との勧告を踏まえて、55歳超の行(一)6級相当以上の者の給与を1%削減することを当初提案してきました。
 このねらいは、2013年度から導入する予定である定年制延長に対応して、50歳台後半層の賃金抑制をはかり、61歳以降の給与(人事院は60歳時の給与の約70%と規定している)を抑制することにあることは明らかです。
 これに対して、県労連は、制度上公民較差の解消はやむを得ないものの、定年制延長を視野も入れて、55歳超という年齢による賃金抑制には反対であるという姿勢を明確にしました。また、6級相当には、グループリーダーとして重い責任を担っている組合員層(学校においては総括教諭)がいることから、6級以上の1%という給与削減に反対し、管理職層である7級以上での調整方法を求めました。
 粘り強い幹事団交渉の中で、県当局は年齢による賃金抑制は断念し、行(一)6級以上で0.45%削減を回答してきました。さらに、組合員層の給与削減に反対であるという県労連の追及に対して、県当局は7級以上0.5%、6級0.4%という回答を示しました。そして最終段階の交渉で、県労連が強く撤回を求めた現給保障の廃止に対する「引き続き協議」という回答と合わせて、県当局は7級以上0.55%、6級0.35%という最終回答を示しました。県労連は、この回答を総合的判断によって妥結することを決断しました。
 今回の給与改定では、総括教諭は2012年1月より数百円の賃金引き下げとなります。また、2011年4月から12月分の「所要の調整」として平均2万6千円が1月分の給料から引き去られます。結果として、組合員では総括教諭のみが削減の対象として残ってしまったことは遺憾なことであると考えます。
 しかし、定年制延長を視野に入れた生涯賃金で考えると、「55歳超の行(一)6級相当(教育職3級)以上の者の給与を1%削減」という県当局の当初提案より有利な内容であると判断しています。
 神高教は、県教委と新しい学校運営組織・総括教諭制度の検証協議を展開しています。この中で総括教諭に業務が集中している現状を改善する、具体的な方策を県教委に実施させる方向です。また、教育職3級職の枠拡大を強く求めていきます。


原発社会から自然エネルギー社会へ

神高教第54次教研集会

 10月29日(土)、神奈川総合産業高校を会場に、第54次教育研究集会が開催されました。
 午前中の全体会は山下紀明さん(環境エネルギー政策研究所主任研究員)の講演、午後は8つの分科会での討議となり、全体会と分科会を合わせた当日の参加者は約110人でした。

エネルギーシフトは実現できる!
 今年度の県教研全体会の企画については福島第一原発事故は外せないだろうということから、市民の側に立つエネルギー政策の研究・提言の第一人者である飯田哲也さんに「これからのエネルギー政策はどうあるべきか」を話してもらおうということになった。
 しかし、飯田さんが多忙をきわめて都合がつかなくなったため、飯田さんが代表をつとめる「環境エネルギー政策研究所」の主任研究員である山下紀明さんに来てもらい、「原発社会から自然エネルギー社会へ―福島原発事故とこれからのエネルギー政策」という演題で話してもらうことになった。
 国レベルでも、ちょうど総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会 、原子力委員会・新大綱策定会議、及び閣僚関係で構成されるエネルギー環境会議という三つの委員会で、これからのエネルギー政策の議論が始まったところである。これらの委員会では原発推進側委員が多数を占めており、脱原発の方向へいかに市民の意見を反映させるかが問われている中での講演会であった。
 山下さんの話を聞くと、いま流通している情報がいかに原発推進に都合のいいものに偏っているかがよくわかる。例えば、自然エネルギーは不安定でコストが高いという主張がある。しかし、自然エネルギーは多くの国ですでに導入されており、その不安定性は気象を予測して他の電源を調整することで技術的に克服可能なのである。
 自然エネルギーのコストは、いまは高いが、これからの技術開発と大量生産によって安くなる。化石燃料のコストはこれから上昇するし、原発のコストは本当は高いということは既に明らかになっているうえ、ともに環境的・社会的コストが大きいことも問題である。自然エネルギーは環境的・社会的コストが小さいので実現性も将来性も十分にあるとのことだった。
 講演後の質問時間は十分にとったつもりだったが、活発な質疑応答で時間が足りないほどであった。


2011憲法を考える11・3県民集会

「生存権」を脅かす原発

 かながわ憲法フォーラム主催の今年の11・3集会は、「生存権を脅かす原発 子どもたちの「いのち」「未来」を守るためにできること…」をテーマに、かながわ労働プラザで開催され、約200人が参加しました。

 今回の講演では原子力資料情報室の渡辺美紀子さんから体内被曝に関するお話をいただき、福島第一原発の事故により、地域社会・地域経済が崩壊している状況が報告されました。そのうえで、食品をめぐる放射能汚染について、セシウムを例にとりながら、体内でどのように濃縮され、どのような臓器に影響が出てくるかについて説明いただきました。
 また、チェルノブイリ事故における「強制移住地域」「希望すれば移住できる地域」でのセシウム137による汚染状況と現在の福島県内の汚染状況を比較し、伊達市や飯舘村がその当時の「強制移住地域」に相当する汚染状況であることも紹介されました。
 放射線の人体への影響は、低線量であっても確率的に存在し、これ以下なら安全という被曝線量はありません。核種により影響の大きい臓器があり、人々が放射能に気をつけるかどうかでも被曝量は異なってくるというお話がありました。現在の日本、特に東日本は放射能によって既に汚染されてしまっており、重要なのは汚染の実態を知ることであり、放射線を測定しそのデータを共有することであると指摘されました。
 原発は運転休止中の定期点検作業中に通常運転時とは比較にならないほど大きな被曝の危険性が生じ、その際の被曝は下請け労働者に集中的に発生しています。原発の運転に関わる危険性が下請け労働者に押し付けられています。事故による放射能汚染だけでなく、定期的に被曝の避けられない原発を運転し続けることは、社会全体の大きな問題であるとの提起もありました。
 次に福島からの現地報告を、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の佐藤幸子さんから受けました。日々、放射線の影響の中で、避難もできず除染に期待をかけながら生活している人たちの状況報告がありました。避難している家族も、父親は福島に残り、母親と子どもだけが避難生活をすごしている家族が多く、大きな負担を強いています。福島県も県内での転居については配慮があるものの、他県への転居については個人任せとしており、大きな問題となっていると報告がありました。