本文へジャンプ

ホーム > 機関情報 > 高校神奈川 > 高校神奈川 No.626

高校神奈川 No.626

2014年12月13日

子どもの権利条約〜採択25年・批准20年

 1989年に子どもの権利条約が国連総会で採択されてから25年になります。日本政府は90年に署名しましたが、批准は94年でした。18歳未満を対象とする条約の主な内容は、(1)あらゆる差別の禁止 (2)社会参加の保障(意見表明権、聴聞される権利) (3)困難な状況下の子どもの緊急・優先的保護 (4)親・家族の重視 (5)「子どもの最善の利益」を考慮した立法・行政義務などです。
 条約批准を受けて、政府はエンゼルプラン(1995〜99年度)を策定し、仕事と育児との両立のための雇用環境整備や、ゆとりある学校教育などを盛り込みました。児童福祉法が大幅に改正され(97)、(1)学童保育を「放課後児童健全育成事業」として法制化 (2)児相が施設入所措置を行う場合、本人の意向を聴くことを明確化 (3)教護院を「児童自立支援施設」とし、就学猶予規定を削除 (4)児童家庭支援センターを創設し、市町村に児童相談窓口と要保護児童対策地域協議会設置(2004)などが実現しました。
 厚生省の積極性とは対照的に、文部省は条約発効時の次官通知で「懲戒処分や出席停止の際には当該児童生徒等から事情や意見をよく聴く機会を持つこと」と記述したものの、「教育関係について特に法令等の改正の必要はない」として、特段の広報を行ないませんでした。一方、法務省は、(1)子どもの人権専門委員の配置(94)、(2)嫡出子と非嫡出子の住民票を「子」に統一(95)、(3)外国人指紋押捺制度の撤廃(99)、(4)児童買春ポルノ禁止法の制定(99)などを行いました。
 新エンゼルプラン(2000〜04年度)では、(1)子育て支援サービスの充実 (2)子どもの看護休暇制度 (3)性別役割分業や職場優先の企業風土是正 (4)周産期医療ネットワークの整備 (5)完全学校5日制の実施(2002)、(6)スクールカウンセラーの配置などが盛り込まれ、文部省の「ゆとり・多様化」政策が包摂されていました。
 次世代育成支援対策推進法 (2005〜14年度の時限)の「行動計画策定指針」に「権利条約の締約国としても、‥‥子どもの利益が最大限に尊重されるよう配慮することが必要」との記述が盛り込まれ、少子化社会対策基本法(2003)に基づく子ども・子育て応援プラン(2005〜09年度)では、(1)働き方の見直し (2)子育て教育 (3)待機児童ゼロ作戦などを求めました。さらに、青少年育成施策大綱(30歳未満対象)が策定され、(1)食育基本法(2005)〜栄養教諭の配置 (2)認定子ども園 (3)安全教育・環境教育・消費者教育・法教育 (4)キャリア教育 (5)スクールソーシャルワーカー(6)薬物乱用防止・感染症対策 (7)非行防止教室〜メディア・リテラシー (8)全国学力・学習状況調査(小6・中3対象/2007〜) (9)学警連の活性化〜学校と警察の情報連携協定(2006/神奈川)などが導入されました。 
 厚労省は児童虐待防止法を制定(2000)して、疑わしい場合も通告義務の対象とし(2004)、児相による強制立入制度を導入(2007)しました。法務省は、出入国管理法を改正(2009)して外国人登録制度を廃止(2012)し、中長期滞在者には在留カードを交付して携帯を義務付け、特別永住者には証明書を交付して登録証の携帯義務を廃止しました。少年法については厳罰主義の流れを受け、観護措置決定に対して異議申立ができるようになったものの、家裁が必要と認めた場合は検察官が関与できるとし、その際、弁護士付添人か国選付添人を付すとしました(2000)。警察庁は、出会い系サイト規制法を制定し(2003)、スクールサポーター制度を創設しました(神奈川県警は2007年から各署にOBを配置し、方面別に少年相談・保護センターを設置)。
 子ども・若者育成支援推進法が制定され(2009)、教育・福祉・雇用等各関連分野における施策の総合的推進やニート等困難を抱える若者への支援を行うための地域ネットワークづくりの推進が図られることとなりました。民主党政権は、子ども・子育てビジョンを閣議決定(2010)し、「少子化対策」から「子ども・子育て支援」への転換を唱え、子ども手当と高校の実質無償化を導入しましたが、東日本大震災(2011)と政権交代(2012)により、変更・中止されてしまいました。この間、経済的困窮を背景とする児童虐待は増加の一途をたどり、子どもの貧困率は右肩上がりです。「この条約は途上国には必要だが、日本では大した意義はない」との当初の指摘が、的はずれであったことは明らかで、「脱ゆとり」が進行する中、改めて条約の意義が問われています。