神奈川県高等学校教職員組合KHTU
神奈川新聞2005.6.17
県立高の日の丸・君が代問題 起立、唱和しない自由訴え

 日の丸・君が代の強制に反対する県内の教師らでつくる「神奈川予防訴訟をすすめる会」は十二日、県立学校の卒業式‘入学式などでの国歌斉唱時に、起立し唱和する義務のないことの確認を求める訴訟を早ければ七月下旬に起こすことを決めた。十二日までに原告予定者は五十一人となったほか、訴訟を支援する会員も二百人を超えた。同会は提訴に向けて、さらに原告、会員を募っていくとしている。(熊谷和夫〕
   7月下旬にも確認訴訟 教師らの会が原告募り

 同会は同日、横浜市神奈川区内で臨時総会を開いた。今後の方針を決めたほか、訴状の内容を検討。訴訟を通じて、日の丸・君が代への忠誠を強制することに反対する思想には歴史的・客観的に根拠があること、国歌斉唱時に起立、唱和を強制することは思想・良心の自由の侵害であることを明らかにするとした。
 また、東大教授(哲学〕の高橋哲哉さんを講師に迎え、提訴プレ集会を七月二十六日午後六時半から、横浜市開港記念会館で開くことも決めた。参加費五百円。問い合わせ
ば、川崎合同法律事務所川口弁護士)TEL044(211)0121。

公立校全校で実施  不起立教職員に処分も 県教委調査

 県教育委員会はこのほど、今春行われた卒業式、入学式の公立小中学校や高校、盲・ろう・養護学校の日の丸掲揚、君が代斉唱に関する調査結果を発表した。調査結果の公表は今回が初めて。
 それによると、公立学校全校が日の丸を掲揚し、君が代を斉唱していたが、卒業式では県立高二十五校^六十六人)、入学式では十六校(四十人)の教職員が、君が代斉唱時に起立しなかった。盲・ろう・養護学校では卒業式で四校(九人)、入学式では一校(一人)の教職員が起立しなかった。
 君が代斉唱時に起立しなかった教職員がいたことについて、県教養の下山田伸一郎高校教育課長は、学習指導要領に「国旗掲揚、国歌斉唱の指導」が位置付けられている点を強調した上で、「指導しても何回も(起立しないことを)続けていれば、懲戒処分もあり得る」と述べた。
 今春の卒業、入学式に際し、県教委は昨年十一月、県立学校長あてに「国旗は式場正面に掲げ、国歌斉唱時には教職員は起立する」よう求める通知を出している。また、昨年の県議会九月定例会で曽根秀敏教育長(当時)は、一部教職員が斉唱時に起立しなかったことを踏まえ、「校長の継続的な指導に従わない教職員には厳正に対処する」と答弁している。(大槻和久)