公正に選定された教科書の採択を求める決議 |
公正に選定された教科書の採択を求める決議 県教委は7月24日、実教出版『高校日本史A』『高校日本史B』を選定した学校長に対して、「再考を依頼」した。これは、前日開催された教育委員会委員協議会において、教育委員から同教科書の採択について疑義が出されたことで、県教委が不採択の可能性があると判断したことによる。 各学校では、教育委員会が決定した「神奈川県立高等学校等使用教科用図書採択方針」に基づき、すべての教科用図書の検討を行い、教科書選定会議などにおいて、「使用希望教科書」を選定し、7月10日までに提出している。 各学校の「使用希望教科書」は、公正の確保が徹底されるなか、学校目標や教科目標などをふまえ、学校・生徒の実情に則した「最適」なものである。 しかしながら、すべての選定作業終了後に、県教委が「再考を依頼」したことは、自らが示した「教科書選定・採択手続きの流れ」に反するものであり、学校における公正かつ慎重な選定に対する不当な介入である。日々接している生徒のために、最も適した教科書を公正かつ慎重に選定した教職員の職責と専門性を否定するものである。断じて容認できるものではない。 神高教は、県教委に対して、「使用希望教科書」の「再考」の「依頼」に断固抗議し、各学校への不当な「依頼」を即時撤回することを強く求めてきた。しかしながら、手続きについては、今までにない異例のことと認めるものの、本日に至るまで県教委は撤回していない。 具志堅幸司教育委員長は、8月6日の教育委員会8月定例会後、記者に対して実教出版の当該教科書を希望していた28校すべてが、他の教科書に変更したことを明らかにした。 当該校では、教科書の内容ではなく、外部団体からの圧力の懸念、県教委による圧力などを背景とする「公正」とは言いがたい教科書の再選定が行われたことも報告されている。各学校が一度「最適」と認めた文部科学省検定済教科書を変更することに、数多くの教職員が理不尽さを訴え、苦悩した事実を看過することはできない。県教委自らが、生徒・保護者・県民の学校に対する信頼を損なった責任はきわめて重い。 神高教は、県教委から「再考を依頼」される前に公正に選定された「使用希望教科書」をもって、教育委員会が教科書採択を行うことを強く求める。 以上、決議する。 2013年8月10日 神奈川県高等学校教職員組合 |