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定時制殺到 改善に課題

神奈川新聞2007年09月06日
08年度県内高校全日制
公立定員枠 拡大せず
 県教育委員会と県私立中学高等学校協会は五日までに、二〇〇八年度の県内公立高校全日制の定員枠について、〇七年度と同様に県内公立中学校卒業予定者の60・6%とすることで合意した。全日制を希望しながら経済的事情や学力不振などから定時制に不本意入学する生徒が多い現状に対し、教育関係者からは「前年度と同じ公立枠では定時制殺到の改善は困難」との声が上がっている。
 県内公立中学を今春卒業した生徒のうち県内外の国公私立高校全日制に進学した生徒の割合(全日制進学率)は、前年度に続いて全国最低水準の89・3%に陥った。
 このため、県教委は、私立への入学者を増やしたい私学協会に対して「公立枠を前年度より減らす選択は県民に理解が得られない」と主張。だが、私学協会側に提示した対策は、既存の奨学金や学費補助制度について中学校現場などへの周知徹底を図ることなどにとどまった。
 今春の定時制入試には志願者が殺到、県教委が合格者を急きょ四百三十人増やすなど混乱が続いた。さらに、調査で定時制受験生のうち全日制希望だった生徒が半数の約千二百人に上ることが判明、ミスマッチの改善が課題となっている。
 県教委は来年四月、毎日通える通信制新タイプ校を開校させることによって、定時制に生徒が殺到する現状の緩和に期待を寄せるが、教育関係者は「中学校現場への周知が不十分で浸透していない」と指摘。県教委の全日制進学率向上対策についても「効果のほどは不透明」と話している。
 〇七年度と同率の公立定員枠の設定は、十一日の「県公私立高校設置者会議」で正式決定する見通し。(成田洋樹)