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「旧軍関与」復活か

神奈川新聞2007年10月3日

集団自決記述
教科書会社、訂正申請へ

 沖縄戦の集団自決をめぐる教科書検定問題で、検定意見に基づき記述を修正した教科書会社が2日、月内にも文部科学省に記述の「訂正申請」をする意向を固めた。渡海紀三朗文科相は2日の記番会見で「教科書会社から訂正申請が出たら再度、教科書検定審議会の審議にかけることも考えられる」と発言。「旧日本軍の関与」に言及した記述が教科書に復活する見通しとなった。

 検定で修正を求められた記述を訂正申請するのは極めて異例。既に数社が執筆者との調整を始めており、検定審での審議を経て、最終的な文言が決まる。
 渡海文科相は2日の会見で「今回の検定意見を出した後、新たな証言や事実が出されたということもある」とも話し、「状況の変化」を理由に審議会の結論が変わり、文科相として訂正を承認する可能性を示唆した。
 問題とされたのは、5社の高校日本史教科書にあった7カ所の記述。
 沖縄戦の集団自決で軍の強制や関与を明記した表現に「誤解のおそれがある」との検定意見がつき、出版社は「追い詰められて集団自決した」などと表現を修正した。教科書は来年4月から使用されるため、教科書会社は「11月には印刷作業に入りたい」としている。
 政府は2日の閣議で、教科書会社から訂正申請があった場合は「記述が(規則で訂正可能としている)『学習を進める上に支障となる記載』に当たるかどうか判断し、適切な対応を図る」との答弁書を決定。日本軍の強制を削除した検定後の記述は「旧日本軍の関与が一切存在しなかったとする記載はなく、誤った事実の記載にはならない」とした。社民党の照屋寛徳衆院議員の質問主意書に答えた。
 11万人が集まった沖縄県民大会の実行委員会メンバーと、仲井真弘多知事は2日に上京。3日に町村信孝官房長官や渡海文科相らに検定意見撤回を要請する。

沖縄教科書検定問題
 文部科学省は3月、2008年度から使用する高校教科書について教科書検定審議会の検定結果を公表。それまで認められていた、沖縄戦の住民集団自決には旧日本軍の強制があったとする記述に「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現」として修正を求める意見が付けられたことが判明した。各教科書会社は反論の機会である意見申立書を提出せずに記述を修正、合格した。検定意見を付けたのは、軍の命令の有無をめぐり係争中の裁判があることなどが理由とされている。