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崩れゆく機会均等 「格差」の中の県立高校 1
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神奈川新聞2007年12月06日 |
進学 突き当たる壁
不安 「ゆとりない」意欲にも影
家庭の経済格差が、学力格差につながるのだろうか−。神奈川のある県立高校で十一月下旬、三年生の選択科目の授業で格差問題が討論テーマに取り上げられた。生徒九人と教員が机をロの字型に並べて向き合い、小ぢんまりとした授業が始まった。
討論のたたき台は、県立高校全日制で生活保護世帯などを対象とする授業料免除を受ける生徒の割合が、学力不振の課題集中校ほど高く、進学校ほど低い調査結果を報じた本紙記事(十一月十七日付)。生徒たちは目を凝らして読み込んだ。
生徒たちにとっては人ごとではなかった。同校は将業料免除を受ける生徒が二こ〇〇五年度に五人に一人に上り、この割合が県内トップクラスだったからだ。学力に影響を与えるとも指摘される家庭環境では、三年生の少なくとも約25%がひとり親家庭という。 「家庭がお金の面でゆとりがないと、子供も勉強しようと思わないのは当然」。最初に発言した男子は、家計の窮乏と学力不振とは相関性が強い、と実感を込めた。
母子世帯で生活保護を受ける家庭の男子が切り返した。「お金よりも家庭環境の影響が大きい。家庭が不安定だと子供のやる気が損なわれる」
「どんな環境でも生徒自身のやる気が大事ではないか」。複数の生徒が、自分に言い聞かせるように、そう発言した。
しかし−。受験難易度が低いとされる同校の中でも「優秀」と教員が太鼓判す九人は、高校進学時に「格差」の現実に突き当たった。
高校入試で公立に落ちた際の滑り止めとして私学を併願できた生徒は限られ、受験はしたが合格しても経済的に進学できなかった生徒もいた。
ある女子は、親に「私立にやる余裕はない」と言われ公立一本で受験。別の女子は「私立を併願できないから、公立の中でも確実に受かるところしか受験できなかった」と打ち明けた。
ある男子は親がリストラされ再就職するまでの時期と入試期が重なり、私立は受験できなかった。「公立全日制に落ちたら一年間アルバイトして学費を稼いで、もう一度受験したと思う」
九人のほとんどは専門学校や大学への進学が決まっているが、先行きに不安がある。大学に進学する女子は「父の仕事の状況によっては、通い続けられるか分からない」と不安をのぞかせた。
ある男子は、ぼそっと言った。「格差は何年たっても変わらない。(世代を超えて)繰り返されると思う」
「格差」が県立高校の生徒を直撃している。家庭の経済力によって学力に差がつくことが県教委のデータで裏付けられ、教育の機会均等が崩れている実態が浮かび上がってきた。課題集中校や定時制高、中学校の各現場の現状を報告し、教育行政の在り方を問う。
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