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君が代不起立教職員氏名収集は「不適当」

神奈川新聞2008年01月18日

県個人情報保護審答申

 県教育委員会が県立高校の卒業式などで君が代斉唱時に起立しなかった教職員の氏名を収集する妥当性について、県個人情報保護審議会(会長・兼子仁東京都立大学名誉教授、十五人)は十七日夜、横浜市内で会合を開き、県教委の諮問は不適当として氏名収集を認めない答申をまとめた。近く、正式に答申する。

 昨年十月に県個人情報保護審査会が「思想信条に該当する」として県教委に収集停止を求めた答申に続く二度目の“否決”で、今後、不適当答申に反して県教委が今春の卒業式以降も収集を継続するかどうかが焦点。

 引地孝一県教育長は同日、「正式答申後に内容を精査し慎重に対応するが、国旗・国歌についてはこれまで通り教職員に指導する」とのコメントを発表。収集継続の判断は留保している。

 審議会の答申では、憲法一九条の思想良心の自由の保障と深くかかわることから、「(氏名収集の)正当性、必要性を積極的に認める答申を出すのは難しい」とした。一方、答申後の県教委の対応については「同条例上、最終的にいかなる職権行使をするかは県教委に委ねられている」と明記した。

 行政が思想信条情報を例外収集することについては、同審議会が同条例上の妥当性を判断できるケースとして【1】容易に合憲と判断できる【2】違憲の疑いが強くない-の二点を列記。県教委が例外収集を求めた今回の諮問については、前回までの審議で憲法上疑義があるとして認めない意見が多かったが、全会一致に至っていないことを挙げ、「審議会は裁判などと違って憲法判断を下す場ではない」として明確な判断は避けた。

 県個人情報保護条例は思想信条情報の取り扱いについて厳しい制限を課しており、行政には同審議会答申に沿った対応が求められている。答申に強制力はないが、不適当答申に反して行政が事業を継続した前例はない。