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変わる基地 岩国市長選の波紋
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神奈川新聞2008年02月13日 |
孤立する座間市長
「福田良彦氏 当選確実」−。山口県岩国市であった出直し市長選の結果を知らせるテロップ。米軍再編をめぐる「反対派の陥落」の報を、同じく反対の立場を取る座間市長の星野勝司は自宅のテレビで知った。
報道陣の要請に応じて発表した公式コメントでは「岩国市民として冷静かつ厳正な判断がなされた結果として受け止めている」とし、表立っては冷静さを装ってみせた。
だが、米軍再編をめぐる地方に対する国の強硬路線の是非も問われた今回の市長選の結果を受け、星野はこう周囲に漏らし、悔しさをにじませた。 「負けちゃったね」
約七百キロ離れる両市だが、米軍再編をめぐる二人の“距離”は近い。
岩国市の前市長、井原勝介は昨年十二月、「民意を問う」として突然辞職した直後、自ら星野に電話を入れていた。「いま辞表を提出してきました」
同じ保守系。日米安保条約を是認し、以前は基地へのスタンスも協力的だった。だが、いずれも「国は地元に十分な説明をしない」(星野)などと、再編協議をめぐる国のやり方に不信感を抱き、強硬路線に転じた。
結果、両市は新設された再編交付金の対象外に。一方で、周辺市は次々と容認姿勢に傾き、交付金を手に入れる。国と相対し続ける両市の孤立は一層深まり、ともに国の「アメとムチ」による攻勢にさらされた。
「座間への影響は分からない。窮地に追い込まれたとは思っていない」。取材に対し、星野は強気な姿勢を崩さない。だが、市長選取に星野と会話を交わした市議は心情を察した。「勝ってほしかったんだろう。これでますます孤立感が深考た」
星野に近い保守系市議も「いよいよ追い込まれた。相当ショックだろう」と受け止めた。その上で「最近は反対のトーンが下がってきている。挙げたこぶしを国に降ろさせられるのではないか」と展望する。
井原敗戦で本州では再編計画に反対する事実上、唯一の首長となった星野。「基地の恒久化解消策を求める私のスタンスは崩れない。交渉相手は国しかいない。国を信じている」。国と斌僻する地方の首長の苦悩をうかがわせた。
落選が決まった直後、井原は事務所で涙を浮かべながら、座間市の行く末を案じた。「国に理解を示していない自治体は、まだある。その影響も危倶している」
日米軍再編に伴う米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)から米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)への空母艦載機移駐の是非が最大の争点になった岩国市長選。民意はついに「反対」との決別を宣言した。岩国が下した重い選択の背景とともに、同様に米軍再編で揺れる基地県・神奈川に与える影響を探る。(文中敬称略)(基地問題取材班)
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