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倒壊の危険 県内170棟

神奈川新聞2008年06月21日

校舎・体育館 震度6強以上学校名公表へ

■震度6強以上の大地震時に倒壊や崩壊の危険性が高いとされる公立学校・幼稚園の校舎や体育館などが全国で五千七百六棟に上り、うち県内には百七十棟あることが二十日、文部科学省の調査で分かった。県内三十三市町村教育委員会の中で危険性のある学校名を公表するのは二十二教委。非公表としていた県教育委員会も方針を転換し、県立学校名を早期に公表する方向で検討に入った。(成田洋樹)

耐震化率 全国首位
 倒壊の恐れがある校舎や体育館などは4月一日現在の棟数で、詳細な耐震診断で構造耐震指標(Is値)がO・3未満だった建物。
 県内の内訳は、小中学校九十棟、高校七十五棟(県立七十二、川崎市立三)、県立特別支援学校二棟、幼稚園三棟(横須賀、小田原市、山北町)。小中学校の市町村別で最多は藤沢市の三十二棟で、以下は平塚市十一棟、川崎市と小田原市各八棟、鎌倉市七棟の順で多かった。
 一方、「耐震性がある」とされたのは、現行の耐震基準が導入された一九八二年以降の建物と、旧基準の八一年以前の建物のうち各教委が「耐震工事済み」と回答した建物。全施設の中で耐震性があるとされた建物の割合(耐震化率)は、神奈川の公立小中学校は90・4%で全国トップだった。ただ、市町村間でばらつきがあり、100%が十一市町村、90%台が八市町ある一方、最低の湯河原町が52・9%、次いで低いのは葉山町の54・2%だった。
 公立高の耐震化率は57%(県立54・9%、横浜市立78・1%、川崎市立62・5%、横須賀市立100%)で全国三十位。特別支援学校の77・9%(県立76・4%、横浜市立76・9%、川崎市立87・5%、横須賀と藤沢各100%)は全国二十九位、幼稚園は77・8%で全国八位だった。
 都道府県教委で学校名を公表するのは二十五教委で、ほかに四教委が本年度中の公表を予定している。神奈川県教委は「不安を与える恐れがある」として公表を見送ってきたが、災害への心構えや避難活動にも影響を与えかねないなどとして公表する方向で検討している。


◆構造耐震指標(Is値)
現行の耐震基準が導入された1982年よりも前に建設された建物の耐震度を測る指標の一つ。O・3未満の場合、震度6強以上の大地震時に倒壊や崩壊の危険性が高いとされる。