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「沖縄戦」を初明記

神奈川新聞2008年06月30日

小学校社会科 新指導要領解説書で

 文部科学省が、二〇一一年度から完全実施される小学社会科の新学習指導要領の解説書に、集団自決など多くの犠牲者を出した「沖縄戦」や、東京大空襲をはじめとする「各地への空襲」「広島・長崎への原爆投下」といった事例を初めて明記することが二十九日、分かった。第二次世界大戦で日本国民が受けた被害について学習する機会を充実させるとしている。
 沖縄戦での集団自決に関して日本軍の強制があったとの記述削除が昨年、高校日本史の教科書で問題になった際、授業で取り上げるよう求める声が沖縄県などから出ていたことを文科省が踏まえて決定した。
 三十日に都道府県教育委員会の指導主事らを対象に開く、新指導要領の中央説明会で説明する。
 解説書は授業指導の指針となる。文科省はこれまで、第二次世界大戦での被害などを小学校の授業でどのように教えるかは一定程度学校現場の裁量に任せていたが、沖縄戦だけでなく、国内の他地域で大きな被害が出た空襲や原爆なども併せて解説書で取り上げる。
 高校日本史の教科書検定で昨年、「(集団自決への)日本軍の強制」の記述が削除され、「日本軍の関与」という形で復活した。その際、沖縄県などが沖縄戦を授業で取り上げるよう要請したのに対し、渡海紀三朗文科相は「沖縄戦に関する学習がより一層充実するよう努めたい」としていた。
 学習指導要領の内容を補足する解説書は、文科省が各教科ことに編集。学習指導要領と違って法的拘束力はないが、教員の授業指導の指針となっており、教科書も解説書を参考にして作成されることから、学校現場に与える影響は大きい。


◆学習指導要領
学校が児童・生徒に教えなければならない学習内容など教育課程の最低基準。国公私立の小中高校と特別支援学校が対象で、1947年に試案が示されて以降、約10年ごとに改定されている。今年3月に文部科学相が告示した小中学校の指導要領は、近年の学力低下への懸念の高まりから「ゆとり教育」路線を変更、学習内容を増やし約30年ぶりに授業時間数も増加に転じた。解説書は指導要領を補うもので、授業指導や教科書作成の指針となる。