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県立高校46校 6強で倒壊の危険

神奈川新聞2008年09月13日

建て替え・補強 16年度まで

 県教育委員会は十二日、震度6強以上の大地震時に倒壊や崩壊の危険性があり、校舎の建て替えや大規模補強などが必要とされる県立高校四十六校を公表した。すぐに仮設校舎などへ移転するなど緊急対応を求められる高校が二十二校あり、すでに十校で設計や工事を始めているという。県教委は今後、有識者らによる検討会で対策の優先順位を決定し、緊急性の高い高校から順次、二〇一六年度までに建て替えや補強を実施する方針。 (真野太樹)

22校 緊急対応必要
 校舎などの状況は、今年三月までに行った耐震診断などで判明。中国・四川大地震で中学校の校舎が倒壊したことなどを受け、国が学校の耐震化推進を指導している一環で初公表した。
 対象の校舎や図書館などは、いずれも「新耐震設計基準」(一九八一年)以前に建てられたもの。
 震度6強以上で倒壊や崩壊の危険性が高いとされる構造耐震指標(Is値)〇・3未満の校舎などは二十七校四十二棟。Is値は〇・3以上だが、地盤条件などを加味すると大規模な補強などが必要になるケースが十九校五十五棟ある。
 県教委によると、七八年以降の東海地震対策などで、県西地域を中心に県立高校の耐震化工事が進んでいたため、今回の対象は横浜、川崎市内などが多いという。
 公立高校で延べ床面積三千平方メートル度の一般的な校舎の場合、補強工事で約二億円、建て替えで五億〜六億円、仮設校舎建設で一億円程度の費用がかかり、四十六校総額で数百億円規模の工事が想定される。県は〇七年度から一六年度にかけて、校舎建て替えなどの「まなびや計画」に約一千億円の予算を見込んでおり、大部分にそれを充当するという。会見した山本正人教育長は「子供たちか安心して学べる環境づくりは、学校教育の大前提であり、最大の課題だ。できる限り早急に対応していきたい」と表明。さらに新潟県中越沖地震や岩手・宮城内陸地震なども、Is値O・3未満でも倒壊した校舎はない」と述べ、過度な懸念が起きないよう理解を求めた。


現場は冷静反応
各校 移転など説明会開催

 十二日に県教育委員会によって発表された、県立高校の耐震診断結果。仮設校舎への緊急対策を求められたのが二十二校に上る深刻な結果となったが、県は二〇〇五年度から一部対策に乗り出していたということもあり「教育現場では冷静な反応が目立った。各校は今後、安全な校舎へのクラス移転や保護者説明会などを予定しているという。 (真野太樹)

 築四十年以上の校舎二棟が建て替え対象となった相模原市の上溝高校では、県教委から来年度の早い時期に仮設校舎を建てる計画が示された。校長は「生徒の大半が利用する校舎。余っている教室はなく一時移転もできない」と打ち明けるが、「私自身が不安を持ったら、生徒たちに説明できない」と不安を打ち消す。
 横浜市神奈川区の横浜翠嵐高校では、補強対象となった校舎のクラスを、来週にも安全な空き教室に移すことを決めた。校長は「大地震が必ず、すぐに起きるわけではない」と話し、生徒らも落ち着いているという。
 建て替えが決まった同市鶴見区の鶴見高校では全生徒に文書を配布した。築五十年の古い校舎ということもあり、校長は「生徒たちは、そうなんだという感じだった」と印象を話す。
 すでにプレハブの仮設校舎への移転を終えた同市中区の横浜立野高校長は「仮設校舎にはクーラーも付くので生徒に好評。保護者も理解してくれている」と、工事の進行を粛々と見守っている。