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校内外広がる波紋

神奈川新聞2008年11月06日

神田高不適正入試
在校生は嘆願書の準備も
県教委「違反に変わりない」

 平塚市の県立神田高校が入試で選考基準を逸脱し、本来なら合格していた二十二人の生徒を服装の乱れなどを理由に不合格にしていた問題で、校内外に波紋が広がっている。不合格判断を支持する意見が県教育委員会に多数寄せられ、在校生やその保護者からは解任された前校長が「荒れた学校」を立て直したとして擁護する声が上がっている。一方、入試制度の根幹に触れる事態に直面した県教委は「ルール違反行為」とのスタンスを変えていない。(報道部、湘南総局)

 同校の不適正入試問題をめぐり、県教委には五日までに電話や電子メールで約千百十件の意見が寄せられた。九割以上が「服装や態度で選考して何が悪いのか。選考基準になくても当然の判断だ」などと学校側を支持する内容。「子供の学ぶ機会を奪った」などと問題視した意見は十五件ほどという。
 在校生の中には、公表されていない選考基準で落とされた生徒がいたことに「学校に不信感を感じる」(三年男子)との声もあれば、「服装や態度をきちんとするのは常識。校長は悪くない」(三年女子)として外見で合否を決めたことに肯定的な意見もあった。
 前校長の在職中、保証者や地域の協力で学校の立て直しを図り学校が落ち着きを取り戻したという。校長を慕う在校生も多く、「(前校長は)生徒を怒るときは本気で怒った。生徒としっかり向き合おうとする姿勢が伝わっているから」(同校教員)。前校長の解任撤回を求め署名活動を始めた在校生が、知事あてに嘆願書を出す準備を進めている。  一方、来春に高校入試を控える受験生を持つ横浜市内の女性(41)は「公表された選考基準外での評価は公平ではない」と指摘。「入試会場で何がチェックされているか分からないとなると、生徒に余計なプレッシャーを与えてしまう」と不安をのぞかせた。
 前校長を擁護する声が多いことについて、県教委は「(学校を良くしようとする)学校側の努力は否定しないが、入試ルールに違反したことに変わりはない」と同調していない。今後も、外見だけで合否を決めることには否定的で、「(調査書と面接で選考する)前期入試の中で面接をどこまで重視するかは学校の裁量だが、服装や態度だけで決めるのは総合的選考の趣旨に沿うとは思えない」(県教委高校教育企画室)としている。


「公平公正に」−松沢知事が指摘
 松沢成文知事は五日の会見で、県立神田高校の入学選抜で不適正な選考が行われていたことについて「あらかじめ公表した上で、身なりや態度を面接の場で合否判定の要素とするのは当然のこと」としながらも、「選考基準を明確にせず、面接時以外の態度で不合格にしたことは選抜に恣意的な要素が加わりかねない。公平公正に行われるべきだ」と指摘した。
 県教育委員会が校長を解任させたことについては「更迭ではなく、再スタートのためにリーダーを代えたのだと思う」と述べた。(三橋英智)