合格情報伝えず |
神奈川新聞2008年11月07日 |
公表から一週間余 県教委、22人に 県教委によると、二〇〇四、〇五年度実施の入試で不合格とされた十二人の入試資料は三年の保存期間が過ぎて一部しか残っておらず、手掛かりは生徒の氏名や出身中学校だけという。 県情報公開課によると、同条例上、個人情報を得るには本人からの収集が原則のため、生徒の出身中学校に本人の連絡先を確認する場合は同条例に基づく手続きが必要。県教委は、この手続きを経て出身中学校経由で把握するか、住民基本台帳で所在地を特定するか検討中で、まだ連絡のつけ方すら結論が出ていない。 県教委は「不適正入試で不合格とされたことを出身中学校の関係者に知られたくない生徒もいるかもしれないので、生徒に配慮した形で連絡できる方法を決めるには慎重さが必要」と弁明している。 今春の入試での不合格者十人については、神田高に残っていた入学願書から生徒の住所と電話番号は把握済みという。県情報公開課は、県教委が願書を基に生徒に直接連絡することは条例上も問題はないとしているが、県教委は〇四、〇五年度分の不合格者への連絡のつけ方を決めてから伝えたい意向を示している。 来週中にも連絡先の特定作業を始める予定だが、実際の連絡はさらにずれ込む可能性があるという。 一方、横浜市立中学校の校長は「いまだに伝えていないなんて理解できない。被害者の学習権の確保をどう考えているのか」と非難。かながわ市民オンブズマン代表幹事の大川隆司弁護士は「県教委が生徒の連絡先を把握することについて、生徒の出身中学校を通じて本人から同意を取れば済む話で、個人情報保護条例上何ら問題はない。県教委は思慮が足りない」と批判している。 |