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無断で孫請け委託

神奈川新聞2009年01月15日

システム開発のIBM
県教委「明確な契約違反」
流出ショック 県立高11万人情報

 県立高校生十一万人分の個人情報が流出した問題で、県教育委員会から授業料徴収システム開発を委託された日本IBMが、無断で作業の一部を「孫請け会社」に委託していたことが十四日、分かった。データは孫請け会社の男性社員のパソコンから流出。県教委は「明確な契約違反」として、法的措置を取る可能性もあるとしている。一方総務省は、全国の自治体で情報流出がやまないことなどから、各自治体に、より厳重な情報管理を求める通知を三月までに行うことを決めた。(報道部)

 県教委などによると、孫請け会社の社員は二〇〇五年八月から〇六年三月まで、システム開発作業の最初から最後まで従事していた。IBM側からは下請け会社の社員として紹介され、県に提出された「体制図」でも下請け会社の肩書がついていた。
 県とIBMが交わした契約では、業務の再委託は県の事前の承諾が必要と定めていた。県教委は下請け会社への再委託は承認したが、孫請け会社に再委託することの相談や報告ははかったという。
 システム開発が終わり、IBMは県教委に「データはすべて消去した」と報告。だが実際は孫請け会社の社員のパソコンに残っており、流出につながった。県教委が孫請け会社への委託が行われていたと知ったのは、情報流出後の昨年九月だった。IBMは「説明不足だった」と謝罪したという。
 県教委は「まったく知らない会社の名前を聞き、驚いた。今回負担が生じた場合、それをIBM側に求める立場にあると認識している」としている。
 業者と共同で作業に当たった県教委教育財務課は「名刺を受け取ったのは下請け会社の社長だけ」と、確認が不十分だったことを認めた上で「『うちの社員』と紹介されれば、信じるしかない。身分確認をどうするかなど細かいガイドラインを設けないと、同じことが起こる可能性はある」と課題を挙げた。
 総務省は、〇七年に愛媛県愛南町で再委託先から住基ネットの個人情報が流出したことを受け、業務委託のガイドラインを作成し、自治体に注意を促してきた。その後も再委託先からの情報流出が相次いでいることから、契約後に点検すべき項目などを盛り込んだ、より細かいガイドラインを全国の自治体に通知るとしている。