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09年中学受験を総括

神奈川新聞2009年02月23日

個性ある共学校が人気
文化祭など学校知る好機

 二〇〇九年の中学受験が終了した。今年は県立中等教育学校三校が初“参戦”。さらに初日の二月一日が日曜日で礼拝日と重はったため、キリスト教系の学校が試験日を移動させるはど例年とは異なる要素が重なったシーズンとなった。日能研本部進学情報室の井上修室長と、中学受験情報誌「進学レーダー」の児玉徹編集長に、〇九年の中学受験を総括してもらうとともに、一〇年の「傾向と対策」についても分析してもらった。(田口 要)

−県立中等教育学校の参戦に日程変動など、今年は例年と異はる中学入試だった。
井上 〇九年の私立・国公立中学の受験者は一都三県で六万四千二百人。小学六年児童の受験率は21.2%で、ともに過去最高となった。増加の主う要因は県立中等教育学校が参戦したこと。ただ試験日が二月一日(グループ活動は七日)だったため、私立校と併願する受験生は少なかった。私立の男子校は聖光学院(横浜市中区)の人気が高かった。大学進学の実績など教育力が高いとの評価を受けた。私立女子校はフェリス女学院(同)が試験日を一日から二日にずらして都内の学校と併願しやすくなったため、受験者数が増加した。
児玉 今回、神奈川は共学校の人気が高かった。大学と提携したり、特進など進学に力を入れたりするなど、強い個性や特色を打ち出す動きが共学校に特に強く、共学人気に拍車がかかった。もちろん魅力あふれる学校なら男子・女子校でも人気は高かった。
−最近の入試問題の傾向は。
井上 難関校を中心に記述式など、持っている知識を運用する力を試す問題へと変化している。ただ基礎学力は大切。幅広い学力をみるため、以前の国語・算数の二科目入試から、社会と理科を加えた四科目入試へと移行する学校が圧倒的に多い。どの学校でも必要な学力を培った上で、六年生の後半から志望校対策をすれはいい。
児玉 運用力を養うためには、自分で調べ、考え、表現する姿勢が必要。自分に何が足りず、補うために何をすれはいいか、計画を立てる力も重要だ。例えば子供が解けない問題があったら、親はどこがどう分からないのか子供に言わせる。これを習慣づけることで合格力が身につく。
−一〇年の中学入試の動向は。
井上 一〇年には、都内で都立校四校や中大付属中、早大高等学院中学部が開校する(共に設置認可申請中)。神奈川の受験生にも影響を与えるだろう。県内でも今後、大学と連携する学校も増加するだろう。
児玉 神奈川で新設校開校や教育改革、学校改革などの動きが活発化している。魅力ある学校がさらに増えそうだ。これまで地道に努力してきた学校も、急激に人気を集めることになるかもしれない。
井上 選択肢が増える中で、学校説明会だけでなく文化祭や体育祭などを見学すると、生徒の生の様子や学校のリアルな雰囲気を把握できる。志望校決定など、子供か能動的に受験にかかわることが合格のかぎを握っている。