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今春卒業予定者の内定取り消し

神奈川新聞2009年03月27日

過去最悪、1469人に
文科省調査 辞退者も496人

 今春に大学や短大、高等専門学校(高専)、高校を卒業予定で、企業などから内定を取り消された学生は三月一日時点で、計干四百六十九人に上ることが二十六日、文部科学省の調査で分かった。山一証券の破たんなどが影響した一九九八年の千七十七人(厚生労働省調べ)を上回り、過去最悪の状況となった。

 内定の辞退を暗に求められたり、採用時期の延期、採用条件変更などを伝えられたりした人も計二千九十三人で、うち大学生を中心に四百九十六人が辞退していた。
 今後も厳しい状況が予想され、文科省は「内定を取りり消された学生が不利にならないよう、大学の相談態勢充実などを支援したい」としている。
 同省によると、内定取消しの内訳は大学が三百二十三校の干百十三人(大学院生を含む)で、全体の76%を占めた。次いで高校が、富山や滋賀、奈良、和歌山を除く四十三都道府県の三百十四人だった。短大は二十五校の三十四人、高専は七校の八人。 
 取り消された学生(高校を除く)のうち38%にあたる四百三十六人が「企業との示談に応じた」と回答、金銭補償があったとみられる。百五十五人は企業との話し合いが「未解決」としている。
 取り消し後の状況では、別の企業などから内定を得たのは大学で五百二十六人、短大で十六人、高専で七人。高校は、紹介を受けた別の企業の内定や取り消し撤回も含め二百三人だった。
 取り消しを受けた学生で就職活動を続けているのは大学で三百四十一人、短大で十五人、高専で一人、高校で七十八人。
 取り消しには至らないが、辞退を求められるなどしたのは高校の干四十一人が最多で、大学の九百九十四人が続いた。
 調査は大学、短大、高専の千百八十一校が回答、高校の状況は都道府県教育委員会などを通じて把握した。

健診で難癖、突然の追試…
手法巧妙化の指摘も

 健康診断で「貧血気味だから」と難癖を付けたり、内定を出した後に突然の追試験を課したり…。文部科学省が二十六日公表した調査で、過去最悪の状況になった新卒予定者の内定取り消し問題。さまざまな口実で取り消しや辞退に追い込む企業もあり、労組関係者らは手法が巧妙化していると指摘している。
 全国一般東京東部労組によると、学生の相談は景気悪化が鮮明になった昨年十月以降、五十件以上寄せられた。ある大学生は都内のIT系企業から昨年、内定通知をもらったが、三月に入って突然、追加面接をさせられ、その後内定を取り消された。
 別の学生は今年になって健康診断を受けさせらた。企業側は「貧血気味」として内定保留を通告、学生は「健康なのにおかしいと相談してきた。
 文科省の二十六日の発表では、内定を辞退した大学生らは四百九十六人としているが、自ら辞退したのか、追い込まれたのかまでは、つかんでいない。ただ、遠く離れた勤務地を提示されたり、給与条件を大幅に変更されたりして辞退を選択した学生も含まれているとみられる。
 今年に入っても人材派遣大手ラディアホールディングス(旧グッドウィル・グループ)が三月、六十一人の内定を取り消すなど深刻な状況が続く。東部労組の須田光照書記次長は「企準は社会的責任を果たす意味でも、学生の将来を狂わせるようなことはしないでほしい」と話している。