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高校生に政治意識を

神奈川新聞2009年11月27日

全国初、全県立高で模擬投票も
10年度から県教委

 県教育委員会は、高校生に政治や裁判員制度への関心を持ってもらおうと県立高校の一部で試行してきた模擬投票や模擬裁判などの「シチズンシップ教育」を2010年度以降、本格的に導入することを決めた。模擬投票は来夏の参院選に合わせて行う予定で、県教委によると、全県立高校を対象として模擬投票を行う例は全国でも初めてという。(宮本敏也)

 今年6月、松沢成文知事が県教委の平出彦仁委員長に対し、シチズンシップ教育の全校拡大を要請。県教委が拡大に向けた検討を重ねていた。
 県教委によると、全県立高校144校が対象。導入初年度となる10年度はまず、模擬投票などを通じて生徒の政治意識を高め、主体的に政治に参加する意欲と態度を養う「政治参加教育」と、模擬裁判などによって司法制度を理解する「司法参加教育」を実施する。
 11年度以降はこれに、経済や金融の仕組みを学び、消費者としての基本的な権利や責任を身に付ける「消費者教育」、モラル・マナー意識を高めて主体的に社会とかかわる意欲と態度を養う「道徳教育」を加えた「4本柱」で、シチズンシップ教育を全校展開する方針。
 公職選挙法では、選挙結果に影響を及ぼしかねない人気投票を禁じており、実際の高校生による投票は、参院選の投票日の直前の平日に行い、後日開票する形で実施する。投開票の前後には、選挙の仕組みや投票結果を分析するなどの授業も行い、政治参加の意義について生徒が自主的に考えを深める機会とする。
 県教委の山本正人教育長は26日の会見で、「模擬投票は3年に1度の参院選の機会をとらえて行うことにしたい。何年生を対象とするかなどの具体的な方法は、各校の判断に任せたい」と話した。

◆シチズンシップ教育◆
模擬投票や模擬裁判などを通じ、将来の有権者である高校生の政治意識や社会性を高めるための実践的な取り組み。県教委では2006年度から導入の検討を開始し、07年7月の参院選の際に深沢、相模原など四つの県立高校で模擬投票を実施。司法教育に関しては07、08年度に金沢総合高校で模擬裁判を行ったほか、深沢高校で裁判員制度についての出前講座や裁判傍聴などを行ってきた。