保護者の理不尽要求
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神奈川新聞2010年02月19日 |
解決策マニュアル化
横浜市教委が各校配布
保護者からの「理不尽な要求」をめぐり、横浜市教育委員会は18日までに、適切な解決策をマニュアル化した手引を作成し全市立学校へ配布した。子どもや教育現場を取り巻く環境が複雑化し、親も教師も「戸惑う」ケースが増えており、校長OBらが具体例に即して対応の流れを示している。全国的にも先進的な試みという。(宮崎功一)
親側 不当な金銭要求 執拗に謝罪求め
学校側 事実把握正確に 安易な妥協せず
同市教委の学校課題解決支援事業の一環。「保護者との豊かなパートナーシップの構築」を目標に、同市教委の学校課題解決支援チーム(校長OBで構成)が実地調査などを通じて具体例を盛り込んだ。
「不当に金銭を要求したり威圧的な態度を示す保護者」「事実でないことに謝罪を求め執拗に独自の要求をする保護者」「次第に要求がエスカレートしてくる保護者」「被害者意識が強い保護者」など実態に基づく12の事例を取り上げ、要求の背景の分析、学校側が取るべき対応の基本姿勢(正確な事実把握、要求に応じない姿勢、組織的な対応など)、失敗しやすい対応(事を荒立てないために、「まずいこと」と知っていながら安易な妥協を行う)を提示している。
保護者からの理不尽な要求、困難な要求に関する学校から市教委への相談は増加傾向にあり、昨年4〜12月は23件で、「学校の中で解決し市教委にまで上がってこないケースを含めると、かなりの数に上るのではないか」(市教委小中学校教育課)。
各校へ手引を配布することで、同市教委は「ゆがんだ関係性の中で教師も保護者も疲弊するばかりか、時に子どもが健全に成長する土壌を失わせている状況もある。子どもの問題に悩む保護者を共感的に理解し、支えていくための一助になれば」としている。
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