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修学旅行奨学金に殺到

神奈川新聞2010年08月03日


神高教 低所得世帯の高校生向け
経済悪化で1699人応募

 県高等学校教職員組合(神高教)は2日、県立高校に通う生活保護世帯の生徒ら向けに、修学旅行費への充当を目的として設置した給付型奨学金「高校生活応援基金」(1人3万円)への応募者数が、当初予想(約1200人)を大幅に上回る1699人に上ったと発表した。(渋谷文彦)

 神高教によると、修学旅行費用は8万〜11万円で、近年の経済状況の悪化に伴い参加しない生徒が増え、学校によっては2割もの生徒が不参加となるケースもあるという。
 応援基金はこうした問題に対応し、「子どもの置かれた厳しい状況に目を向けてもらう一石にしたい」と今年創設した。生活保護世帯または認定所得300万円以下の世帯で、以降に修学旅行に参加する生徒を対象とした。
 3年間で計約2500人に給付する計画で、修学旅行に参加する前の学年でも応募できるため、今期は1200人ぐらいの募集があると予想していたが、大幅に上回った。応募資格を審査し、1642人に給付。応募者の8割は認定所得300万円以下の世帯の生徒だった。
 144の県立高校のうち、131校の生徒から応募があった。応募数はゼロが13校、1ケタが71校、2ケタが60校。最大で54人が応募した学校もあり、学校間の「格差」が出たという。
 応援基金は2500人に達した時点で打ち切る予定のため、3年目の実施は難しくなったという。原資は、神高教が闘争救援資金を取り崩すなどして約7500万円を拠出するが、これまでに退職教職員や一般から約130万円のカンパが寄せられた。
 神高教は予想以上に応募者が多かった理由について、「生活保護を受けられる水準にいながら、さまざまな理由で受けていない世帯が予想以上に多かったのかもしれない。われわれが考えているより、生活実態は厳しいのだろう」と推定。
 さらに、「貸し付けを基本とし、返済免除に成績要件などがある県の現行奨学金制度だけでは生徒たちを支援しきれない。家計の状況に、子どもたちの責任はない。給付型の奨学金の必要性など、世論を喚起していきたい」と話している。