「大惨事になってもおかしくない」―。交通量の多い白昼の県道に、米軍機の機体の一部が落下した事故。現場近くの米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)周辺の自治体、住民からは憤りの声が上がった。(県央総局、報道部)
「空からヒラヒラと何かが落ちてくるのが見えた。くぐり抜けようとしたが、間に合わず車の後部に当たった。コツンという音がした」。部品が衝突した乗用車を運転していた大和市内に住む男性会社員(59)はそう振り返る。当時は仕事中で、ラジオを聞いていたという。
沖縄の普天間飛行場と同様に、厚木基地も周辺人口250万人ともいわれる人口密集地の上空を米軍機が飛び交う。事故直後、現場で巨大な落下部品を目の当たりにした第4次厚木爆音訴訟原告団の斎藤英昭事務局長(71)は「墜落に次ぐ大事故」と衝撃を受ける。「一つは県道に落ちていた。普段は渋滞も起こる道路。大惨事になってもおかしくない」
「警察や米軍が部品を回収している最中も事故機の同型機が飛行を続けた。この無神経さが分からない。米軍は当事者として何を考えているのか」
現場近くを通る相模鉄道は航空機事故に備え、一部がトンネル化されているものの、一部の部品が線路内に落ちた恐れもある。同社は「事故は報道で知った。運行ダイヤには影響は出ていない」とした。
後を絶たない部品落下。
地元の大木哲大和市長は「決してあってはならない」、笠間城治郎綾瀬市長は「大変怒りを感じている。安全対策が講じられるまで、すべての飛行停止を強く求める」とコメント。両市長は9日、基地を訪れ再発防止を求める。
黒岩祐治知事は「早急に原因究明を行い、実効性ある再発防止策を確立するとともに、徹底した安全管理に努めることを強く求める」とのコメントを出した。