定年を迎える地方公務員が退職手当引き下げ前に「駆け込み退職」するケースが全国で相次いでいる問題で、神奈川では県の一般職員と教職員、警察官で少なくとも計23人が早期退職の意向を示していることが14日、分かった。このうち公立学校の教職員は11で、校長や教頭、担任は含まれていなかった。
県全体で3月末に定年を迎える退職予定者は計1858人で、早期退職は1%程度にとどまる見通し。埼玉や愛知県では100人規模の「駆け込み」が表面化したが、神奈川では労働側との交渉で設けた緩和措置(減額幅の圧縮)などが歯止めとなった格好だ。
教職員の定年退職予定者は1293人。早期退職を申し出た11人の内訳は、県立学校6人のほか、政令市を含む市町村立学校で計5人だった。担任などが含まれてないため、県教委は「欠員補充せずにカバーでききそうだ」としている。
一般行政職(定年退職予定170人)は、1月中に退職願を提出していた1人のみ。このほか4人から相談を受けており、「最悪でも片手に収まる」(人事担当者)としている。
一方、警察官は定年を迎える395人のうち11人(3%)が2月末で退職する意向を示している。県警本部による意向調査で判明した人数のため、今後動く可能性もある。
県の引き下げ案の適用予定は3月1日。2月末の退職を希望する場合は2週間前までに申し出る必要があり、県や県教委などが意向を確認していた。減額を定める条例改正案は、19日開会の県議会に提案される。 (香川 直幹、遠藤 綾乃、田中 大樹)
愛知教職員は116人
3月1日から退職手当を引き下げる愛知県で、3月末に定年退職を迎える教職員1158人の約1割に当たる116人が2月末で退職する意向を示していることが14日、県教育委員会の調査で分かった。
調査は名古屋市分を除いたもの。県教委によると、学校の事務職員や県教委職員が計12人で、市町村立の小中学校や県立高校の教諭ら教職員が計104人だった。教育職の中には小学校教頭が1人いたほか、学級担任が18人いた。
愛知県は、国家公務員の退職手当減額に伴い、昨年12月に条例改正。平均で手当が約150万円減額される。
これまで定年退職予定の知事部局の職員351人のうち49人(約14%)のほか、警察官と県警職員289人のうち半数近い142人が2月中に退職する意向を示している。