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教職員 体罰申告70件

神奈川新聞2013年03月03日


県立171校実態調査 被害回答は57件

 県教育委員会は1日、県立学校171校で体罰実態把握のため教職員、児童生徒、保護者に行った調査の集計速報を発表した。教職員からの体罰申告は70件、児童生徒自身が体罰を受けたなどとする回答は57件だった。長時間の正座など文部科学省による体罰の定義に該当する恐れがある事案も4件あり、県教委は処分の必要性も含めて調査を行っている。
 速報は回答締め切り直後の2月15日現在。教職員調査は対象約1万3200人全員が回答、児童生徒向けは対象12万5千人から2378件の回答があった。
 児童生徒からの57件は、38校43事案についての回答。「自分が体罰を受けた」としたのが21件、「自分が受け、他の児童生徒が受けているのも見た」としたのは36件だった。体罰でけがを負ったり不登校になったりするような重篤な事案はなかった。
 「自分は体罰を受けていないが、他の児童生徒が受けているのを見た」との回答も78件あり、自ら受けたとする回答57件と合わせて135件を学校で調査している。
 また、複数の児童生徒が同一の教職員を挙げ「部活動中に殴られた」などと回答した事案が7件あり、県教委は事実関係を確認している。
 教職員からの申告70件は、42校70事案に関する回答。「殴る、蹴る、たたく」などの内容は41件、「押す、つかむ、物を投げる」などは29件だった。このほか、「他の教職員が体罰をしているのを見た」との情報提供40件について学校で調べている。
 保護者の記載欄には675件の記載があり、「自分の子どもが体罰を受けた」とする記載は36件あった。県は今後、回答の中から体罰に該当する事案を精査し、4月末までに文科省に報告する。
 県教育指導部は「各校で体罰を含む生徒指導のあり方を議論し、報告を求めたい」と調査の意義を説明した。しかし、県内の公立高校野球部員の保護者からは「書けば犯人捜しになり、人数の少ない部は特に書きにくい。調査結果は氷山の一角」という声もある。
 調査は、大阪市立桜宮高校で部活中に体罰を受けた生徒が自殺した事件を受け、ことし1月下旬から2月13日にかけて実施。学校を通じてアンケート用紙を配布し、児童生徒からの回答は県教委に郵送する形で行われた。 (佐本 真里)
 ◆体罰の定義
文部科学省は2007年の通知で、「身体に対する侵害(殴る・蹴る)、肉体的苦痛を与える懲戒(正座・直立など特定の姿勢を長時間保持させるなど)である体罰を行ってはならない」としている