憲法記念日の3日、圏内の護憲団体が横浜駅西口で合同の街頭活動を行った。夏の参院選に向け、安倍晋三首相が憲法改正の国会発議要件を緩和する96条改正に意欲を表明し、改憲勢力が台頭する中、参加者は「憲法は暴風雨のまっただ中にある」と危機感をあらわにした。
改憲への強い懸念を背景に、これまで憲法記念日に別々に活動していた九条かながわの会、かながわ憲法フォーラム、神奈川憲法会議などの団体が結集した。
リレートークで九条かながわの会の岡田尚事務局長は「普遍的な価値を定めた憲法が、その時々の権力者の意向で変えられるようになってはならない」と96条改正の動きを警戒。「その先にあるのは平和主義を規定した9条を変えるこだ」と指摘した。
9条を表現したパッチワークキルトを掲げて護憲を訴えた横浜市磯子区の日高桂子さん(69)は「9条を変えてしまったら、家族や子どもを殺す理不尽な戦争につながる」と力を込めた。
懸念は9条改正だけではない。
かながわ憲法フォーラムの佐々木克己共同代表は自民党の改憲草案について「『公の秩序』という概念を持ち出し、国民の権利を制約しようとしている」と主張。「平和と民主主義の実現のため、現憲法の理念を生かそう」と呼び掛けた。
9条改正の是非を問う街頭投票も行われ、2人の叔父を戦争で亡くした平塚市の無職女性(76)は「反対」にシールを貼り付けた。「戦争は絶対だめ。安倍政権の憲法観は不安だ」とする一方、「近隣国が武力を増強する中で、日本だけ取り残されていいのかとも思う」と話した。
(大槻 和久)