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県立高校の日本史教科書

神奈川新聞2013年08月07日

全28校が希望変更
県教委からの再考要請受け

 実教出版の日本史教科書の使用を希望した県立高校に対し県教育委員会が再考を促した問題で、具志堅幸司教育委員長は6日、県教委の介入を受けた28校全てが当初希望とは別の教科書に変更したことを明らかにした。高校教科書の選定に教員委員会が積極関与した異例の事態は、教育現場の意見を覆す結果となった。(佐本 真里)

 県教委は、同社の「高校日本史A・B」で、国旗掲揚と国家斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記載されている点を問題視。希望した28校の校長に対して不採択になる可能性を示し、7月末までに希望を変更するよう求めていた。
 6日の教育委員会定例会後、具志堅教育委員長は「県教委の方針と異なる教科書が希望されず良かった。不採択となって混乱するよりはいい」と説明。「再考を求めたことは問題ない」とし、県教委の考えと違う希望を示した学校を指導することの正当性を強調した。
  また、県教委が再考を求めた際に外圧を受ける危険性を示唆するような発言があった、と一部の校長が批判していることに対し、志摩尚平教育参事監は「採択後に学校名が公表されるといろいろな影響があり、混乱が起きる可能性があると説明したつもりだった。適切ではなかったかもしれないが撤回はしない」との考えを示した。
 2014年度に使用する県立高校の教科書は、20日に開かれる臨時教育委員会で採択される予定。当初、実教出版の「日本史A・B」を希望していたある高校の社会科教諭(58)は、「希望再考は事実上の強制だった。もう一度学校に差し戻して希望を聞いてほしい」と怒りをあらわにしていた。