県内の学校には、外国から来た子が大勢通っています。家の事情で来日すると日本語がうまく話せないまま日本李学校に行くことになり、苦労することも少なくありません。県立相模原青陵高校(相模原市南区新磯野)2年の中国人、邱家豪さんも最初は大変でしたが、勉強を続けたので日本語弁論大会で賞をとるほど上達しました。将来は「通訳の仕事で日本と中国をつなぎたい」と話します。 (佐本 真里)
邱さんは2010年に上海から日本に来ました。中学に入学しましたが、日本の漢字を覚えなければ教科書が読めません。中学の先生にマンツーマンで教えてもらいながら、新聞を読むなどして日本の漢字を覚えたそうです。また、中学の学校にはクラブ活動がないなど文化の違いもあり、「初めはいろんな苦労をしました」と振り返ります。
現在邱さんは、同校多文化交流部の部長として国際交流にかかわるイベントなどに出場しています。26人の部員のうち23人が中国やベトナム、タイなど外国の国籍を持つ生徒です。部員たちをまとめるため、邱さんは「君の国では何がはやっているの」と話しかけるなど工夫します。日本語の補習授業のチラシを作り、勉強にも誘います。
昨年8月には、宮崎県で開かれた高校生日本語弁論大会に出場しました。邱さんのスピーチのテーマは「僕が日本で感じた優しさ」で、11年の東日本大震災をめぐって邱さんに起きた出来事が題材です。
震災で一時氏上海に帰った邱さんを、友達や親戚は「無事で良かった」と歓迎してくれました。しかし上海では、「実験で起こした地震のせいで津波が起きた」といった間違った情報も流れていたのです。
そのため邱さんが被災地での被害の様子や、つらくて悲しい避難生活の中でもみんなが助け合っていることを懸命に伝えたところ、周囲の人の日本への見方が変わったそうです。
そうした経験から邱さんは、「卒業後は大学に入って、通訳の仕事に就きたいです。日本と中国の関係を良くするために役立ちたいので、そのためにもっと日本語を覚えたい」と話します。中国だけでなく他の外国の人にも日本のことを伝えるのが目標だそうです。