県教育委員会は10日までに、県立茅ケ崎北陵高校(茅ケ崎市下寺尾)を木造校舎として現地に建て替えることを断念し、市外も含めた移転を検討することを決めた。敷地内で見つかった地下の遺跡を傷つけないよう木造での建て替えを進めていたが、地元市議会や考古学の専門家団体から移転を検討するよう要望があり、計画を見直した。 (原 隆介、塩山麻美)
耐震性の問題による建て替えは当初、校庭を活用する計画だったが、2002年に古代の役所「郡衙」跡などの遺跡が見つかったため頓挫。県教委は市内での移転先を探してきたものの見つからず、苦肉の策として鉄筋コンクリートより軽量の木造での建て替えを進めてきた。
県教委まなびや計画推進課は「市側から、市外の近隣地にも選択の幅を広げてほしいとの要望があり、選択肢が広がった。14年度中に結論を出したい」と話している。
県は計画見直しに伴い、13年度当初予算で盛り込んでいた木造校舎新築工事の調査設計費約1200万円を全額減額補正する予算案を、13日開会の県議会第1回定例会に提出する。
一方、市側は当初から移転を前提に、同校南側から発掘された古代寺院「七堂伽藍跡」も合わせた一帯を国指定の史跡公園として整備する方針を示していた。
神奈川新聞社の取材に対し、服部信明市長は「市として大事にしているのは、学校の存続と一日も早い遺跡の公開。移転検討は、この両方につながる。今回の県の判断を評価している」と話した。