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新タイプ校「検証必要」

神奈川新聞2014年5月12日

少子化とニーズ多様化
県立高校改革推進で桐谷教育長

 国会で教育委員会制度改革、県内では財政対策や少子化を踏まえた県内3度目の県立高校改革が議論され、神奈川の教育行政は転換期を迎えている。4月に就任した桐谷次郎教育長は高校改革をめぐり、「前回の改革で設置した新しいタイプの高校への検証が必要」との見解を示した。(佐本真里、高本雅道)

 国会では、現行の教育委員会と教育長を一本化し、新教育長が教委の代表となる新制度を中心とする地方教育行政法改正案が審議されている。2015年4月に新制度がスタートすれば桐谷氏の任期中に新制度となるが、法改正後については「あくまでも現行制度で教育委員として辞令を受けた。改正がどういう形で動いていくか、注意して見ていきたい」と述べるにとどめた。
 当面の課題は県立高校改革の推進だ。13年度に県教委予算の9割を教職員人件費が占めた財政上の問題に加え、公立中学校卒業生徒数が28年ごろに現在の7万人超から6万3千人以下に減少すると推測される少子化の中、学校の規模と適正配置の検証が進む。
 桐谷氏は改革のポイントを、「どういう事情の子どもであっても、その子の学びのニーズに応えるのが公教育だ。財政対策の一方で、いかに教育の質を確保するかが重要」と説明する。現在、学校関係者などでつくる県立高校改革推進検討協議会で、社会の変化に対応した教育内容や適正な学校規模について議論している。「協議会の報告を受けて14年度中に県教委が基本方針をまとめるが、何校を削減するという数字は盛り込まない」
 2000年度から09年度までは期間とした前回の県立高校改革推進計画では、前半期の県立高統廃合などに続いて、後半期では基礎学力の定着に力を入れる「クリエイティブスクール」などを導入。夜間以外の課程で学べる多部制定時制高校である相模向陽館も開設し、すでに卒業生を送り出した。
 桐谷氏は「不登校や外国籍などの子どもたちの多様なニーズに対応するために設置したが、本当に多様な教育を実現できたか検証するべきだ」との見解を示す。これまでも県教委は、同計画に基づき設置した体験学習重視型の総合学科高校を検証する考えを示してきたが、桐谷氏は「4月に開設した横浜明朋高校を含め、次の改革で新しいタイプの学校や定時制をどう位置付けるか考えたい。規模や再配置の全体的な検証が必要だ」と述べた。