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学校統廃合に新指針

神奈川新聞2014年7月29日

60年ぶり政府方針
規模拡大で質確保
少子化対応

 政府が小中学校の統廃合に関する指針を約60年ぶりに見直し、再編による規模拡大を積極的に後押しする方針を固めたことが28日分かった。少子化によって教育の質を確保する上で必要な子どもの数や学級数を維持できない学校が増えていることに対応し、バス通学を想定して新たな基準を設ける。

 教員数の削減につながる可能性があり、財務省は財政負担の節減効果を期待するが、遠距離通学を余儀なくされる児童・生徒にしわ寄せが行く懸念も出てきそうだ。
 小規模学校はグループ学習やクラス替え、部活動に支障が出るといった弊害が指摘されている。文部科学省は教育の質を高めるために統廃合を加速させる新たな指針をまとめ、年内にも全国に通知する方針。現行の指針を1956年に通知して以来の改定となる。指針に強制力はなく、実際に統廃合するかどうかは各市町村が判断する。
 現行指針では、子どもが徒歩で通うことを前提に、通学距離の上限を小学校で4キロ、中学校は6キロと定めている。新たな指針は、スクールバスなど交通機関の利用も考慮し、通学時間の基準を加える方針だ。通学時間の上限は30分程度を軸に調整している。
 学校を統廃合する地方自治体に、国が財政支援することも検討する。
 政府は、グループ学習など教育の質を確保する観点から、小中学校の適正規模を12〜18学級としている。だが2013年度の調査によると、適正規模を下回る小学校は休校中などを除いて9466校と全体の46%、中学校では5011校と52%に上る。児童・生徒数がここ30年程度で4割以上減ったのに対し、小学校の数は17%、中学校は8%の減少にとどまっていることが背景にある。
 ただ、地域に根付く小中学校は「地域コミュニティーの核」(文科省)として住民が集う場所となっている面もあり、統廃合で近所から学校がなくなることに異論が出る可能性もある。

 ◆小中学校の統廃合指針
教育水準の向上と学校経費の合理化を目的に、文部科学省が全国の地方自治体に示した小中学校統廃合の指針。適正な学級数や通学距離の上限といった目安に言及しているが強制力はなく、統廃合の是非は学校設置者である各市町村が地域の実情を踏まえて判断する。児童・生徒数の減少は当面続くとみられ、現在の指針では小規模学校の増加に対応できないとの指摘が上がっている。