県教育委員会(具志堅幸司委員長)は19日開いた臨時会で2015年度に県立高校などで使用する教科書について審議し、144校から提出された希望教科書すべてを原案通り採択した。不採択になる可能性があるとして昨年、県教委が28校に再考を求めた実教出版の日本史教科書を希望した学校は一校もなく、「県教委の方針」が貫徹された結果になった。
教科書採択に先立ち「教育委員会事務局が排除を各高校に指示した」などとして選定のやり直しを求める5件の請願も審議されたが、すべて不採択にした。
請願は事務局が今春、校長や副校長らへの説明会の場で昨年の採択結果を説明した上で「方針は変わっていない」と実質的に事前排除を指示したとして問題視。この日の臨時会で具志堅委員長は「事務局の発言は一部の学校に意図が正確に伝わらなかった事実もあったが、昨年の再考依頼は適切だったとの判断が出ている。(今春に)留意するよう学校に説明したことは適切だった」との認識を示した。
実教出版の日本史教科書「高校日本史A、B」は、国旗掲揚・国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記述。県教委は昨年の教科書採択の際、県教委の方針と相反し不採択になる可能性があるとして、この教科書を希望した高校28校に対し再考を求めていた。 (原 隆介)