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平和つなぐ 戦後73年の夏―高校生、世界に発信―

神奈川新聞2018年8月7日

記憶 風化させない
高校生、世界に発信「ガラスのうさぎ」碑文英訳

 戦後73年目の終戦記念日(8月15日)を前に、平和の大切さを考える催しが湘南地域で相次いで行なわれた。「記憶を風化させてはいけない」。戦禍を体験したお年寄りが、戦争を知らない若者とともに平和の尊さを心に刻んだ。(深沢 剛)

 [二宮]二宮町が舞台の戦争体験記「ガラスのうさぎ」をテーマにした「平和と友情のつどい」が5日、二宮町生涯学習センター「ラディアン」(同町二宮)で行なわれた。「ガラスのうさぎ」像の碑文を地元高校生が英訳し、初めて朗読を披露。悲劇を繰り返さないと誓った。
 「ガラスのうさぎ」は児童文学作家の高木敏子さんの体験を基に1977年に出版。終戦直前の45年8月5日に二宮駅近くで米軍機の機銃掃射に遭い、目の前で父が亡くなった。今年で28回目となる「つどい」には地元住民ら約600人が集まった。高木さんも文書で「戦争を起こさないという心を二宮から世界に発信してほしい」とメッセージを寄せた。
 碑文の英訳は今年4月、若い世代の手で平和のメッセージを海外の人々にも伝えてほしいと、同町が地元の県立二宮高校に依頼。英語が得意という岩尾彩楓さん、高野汐音さん、井伊美海さんの3年生3人が手を挙げた。
 時所を片手に3人で話し合いながら英訳文を完成。「自分たちなりに碑文の表現を解釈し、戦争がもたらしす複雑な感情を表現するのに快適な英単語を一つ一つ探すのに苦労した」と岩尾さん。毎日の朗読の練習も1カ月間欠かさなかった。
 この日は岩尾さんと高野さんが壇上に立ち、流ちょうな英語で朗読。高野さんは「戦争になれば多くの人が犠牲になる悲惨なもの。二宮で過去に起きたことを多くの人に知ってもらいたい」と話した。
 英訳は同町ホームページ(HP)で公開。像の碑文の横でHPにつながるQRコードを貼りだしている。