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学校行事 縮小・延期へ

神奈川新聞2020年02月27日

新型肺炎 県が基本指針
式典は児童・生徒のみ

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県は26日、危機管理対策本部を設置し、まん延防止に向けた基本方針を定めた。県立学校の卒業式と入学式を原則児童・生徒のみの出席とするなど、学校行事の縮小や延期を決定。県職員のテレワークや時差出勤も進め、万全の対策を講じる。本部長の黒岩祐治知事は「まずはこの期間、県庁が一枚岩になり、集中的、徹底的に感染防止に取り組む」と述べた。期間は3月15日まで。(尹 貴淑)

 県教育委員会は、県立学校の卒業式・入学式について保護者の出席自粛を求め、座席も設けない方向。特別支援学校では卒業生の保護者の出席は可能とした。
 また、修学旅行や合唱コンクールといった学校行事、部活動の練習試合などは原則延期。授業に際しては始業時間の繰り下げによる時差通学を検討し、可能な限り実施する。28日に予定している公立高校の合格発表、その後の入学手続きは各校の対応窓口を増やすなどして時間短縮を図る。
 児童・生徒、教職員が感染した場合は臨時休校とすることも決めた。取り組み方針は全県立学校と各市町村教委、関係機関に通知。桐谷次郎教育長は「大切なのは子どもの安全安心の確保。卒業式は原則、子どもだけで実施したい。各市町村はそれぞれの事情の中で判断してほしい」とした。
 一方、県主催イベントのうち不特定多数が参加する催しは原則中止か延期とすることも決定。開催が必要な会議などは電子会議などへの切り替えを検討し、困難な場合は規模縮小、時間を短縮した上でマスク着用の徹底など感染拡大予防策を講じる。県職員については最大5割までテレワークによる業務を可能とし、時差出勤や年休取得も促進。来庁者にも提出書類などについて郵送やインターネットによる送付を求める。

新型肺炎 影響拡大
思い出の行事に影

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の拡大は、学校現場にも暗い影を落とし始めた。学校生活の締めくくりとなる卒業式などの行事が相次ぐ3月を目前に控え、県や横浜市の教育委員会が26日、各種行事を制限する方針を決定した。学校現場や保護者は「仕方ない」としながらも、忸怩たる思いで推移を見守る。(報道部)

卒業式 保護者なし 節目見られず「残念」

 県や横浜市の教育委員会が卒業式への保護者の出席を取りやめる方針を決定した26日、わが子の大きな節目に立ち会うことができない保護者からは「仕方ないが残念」と嘆きの声が上がった。県内の他自治体でも県教委の方針などを受けて出席者を絞る方向で検討を進める動きが広がり、新型肺炎が一生に一度の晴れの舞台に影響を与えることは避けられない状況だ。
 市立小学校6年の長女の卒業式を控えていた同市磯子区の主婦(45)は「思いの7割はとても残念。3割は仕方ない。娘の晴れ姿を目に焼け付けたかったが、万が一、感染のきっかけになってしまえば卒業式が苦い思い出になってしまう」と複雑な心情を吐露した。6年生が保護者に感謝を伝える会も開催2日前に中止が決まり、長女は涙を流して悔しがったという。主婦は「体育館でなく各教室でもいいから、卒業証書授与を見られたらいいのに」と肩を落とした。
 同市中区の会社員の女性(47)は、市立小を卒業する長男の卒業式に出席できない事態に当惑した表情を浮かべる。「一人息子でとても楽しみにしていた。こんな大事な式に参加できないことがあるなんて考えもしなかった。仕方がないこととは分かっているが、気持ちの持っていきようがない」と語った。
 卒業式の規模縮小は、川崎、藤沢、茅ヶ崎、小田原の各市教委なども検討する。南足柄市教委の担当者は「子どもたちにとっては大事な節目の行事。健康面への最大限の配慮をしつつ、開催したい」。
 ある県立高校の副校長は「不安は先が見えないこと。4月以降、いつまで続くのか。始業式はどうすればいいのか」と気をもんだ。
<後半略>